新型コロナウイルスに感染し、回復した人の97%が1年後に再感染を防ぐ役割を果たす「中和抗体」を保有していることが、横浜市立大の研究チームの調査で20日分かった。国内ではすでに変異株が主流に置き換わったが、従来株の結果に比べると、中和抗体を持つ人の割合が少ないことも判明した。研究チームは「軽症・無症状者は変異株に対して一定程度感染のリスクがある」とし、感染歴があってもワクチン接種は必要とみている。
研究チームは、従来株の新型コロナへの感染から1年が経過した20~70代の250人から血液を採取。ウイルスの細胞への侵入をブロックする「中和抗体」の量を調べた。
その結果、重症・中等症者は100%、軽症・無症状者は96%、全体では97%が次の感染を防ぐために必要な量の中和抗体を持っていた。感染6カ月後の解析では全体の98%が中和抗体を保有しており、抗体量がほぼ低下していなかった。
ワクチン接種では自然感染よりも効率的に免疫が誘導されるとする研究データがあり、研究チームの山中竹春教授は「ワクチン接種から1年後も効果が期待できるのではないか」と指摘。一方で、免疫は接種直後から低下していくと考えられることから、「1年後に再接種を行い、再び免疫を強化する戦略が現実的だ」と話す。
一方、従来株感染者のうち変異株に対して中和抗体を持つ人の割合も調査。その結果、感染1年後では、重症・中等症者の9割程度が中和抗体を持っていたものの、軽症・無症状者では比較的割合が少なく、インド株と南アフリカ株では約7割に減少していた。