群馬県が24日に太田市で試験運用を始める新型コロナウイルスの大規模接種施設「県営ワクチン接種センター」を巡り、山本一太知事は19日の県議会臨時会で、新たに歯科医師にも接種を担ってもらう方針を明らかにした。一方、医師や看護師の確保は難航しているとみられ、厚生文化常任委員会で不明確な答弁に終始する県に対し、県議からは「(運営は)無理がある」との声が上がった。【鈴木敦子】
県議、運営「無理がある」
県は太田市のほか、前橋市や高崎市などの県央部でもセンターの設置を予定している。大規模センター2カ所への医療従事者の確保が大きな課題となる中、山本知事は本会議で「県医師会や県歯科医師会などと連携していく」と述べ、接種従事者を歯科医師にも広げる方針を示した。
センターへの応援要請が出された県立病院では今後、職員の負担が増えたり、患者の治療が手薄になったりすることが懸念されている。山本知事は「(対策に)知恵を絞る」と答えつつ、「民間病院に協力を求めるには県立病院が先頭に立たなければならない」と理解を求めた。
一方、厚生文化常任委では、加賀谷富士子県議(リベラル群馬)が人材派遣会社などを通じた医師や看護師の確保状況などを質問したが、県ワクチン接種推進課の担当者は「どれぐらい確保できるかまだはっきりしていない」「医師会への説明はこれから進めていく」「歯科医師会と調整して確保したい」などとあいまいな答弁を繰り返した。試験運用の開始日は24日に迫っており、加賀谷氏は「このまま進めると、接種を受ける県民にも迷惑を掛けるのではないか」と指摘した。
また、センター運営関連の予算案(約35億円)の内訳に関する高井俊一郎県議(自民)の質問に対し、同課は運営を外部委託して医師と看護師以外は業者に任せる方針を示した。ただ、委託業者名などの詳細は明らかにせず、常任委に出席した県議からは「委託先が分からない状態では予算審議できない」と不満の声が上がる場面もあった。
県議会は予算案について、人材確保や予約方法、優先接種者の検討などを求める付帯決議を付けた上で可決した。