参院外交防衛委員会は20日午前、中山泰秀防衛副大臣が開始時間に約2分遅刻したため、予定していた質疑を取りやめて流会となった。13日の参院厚労委員会でも、三原じゅん子厚生労働副大臣が約30分遅刻したばかりだった。野党は「論外だ」と、反発を強めた。
中山氏は、イスラエルとパレスチナの戦闘を巡るツイッター投稿が、双方に自制を求める政府の立場と異なると指摘され、野党はこの日の委員会で見解をただす構えだった。防衛省によると、中山氏が答弁に立つのは当初午前10時14分からの予定だったが、質問者の変更により19日夜の時点で同10時に繰り上がった。この変更を担当者が秘書官に口頭で連絡しなかったため、中山氏にも伝わらなかったという。中山氏は同10時2分に姿を見せたが、一部の野党議員が退出。与野党による外交防衛委理事会で流会を決めた。
自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチン大規模接種センターの防衛省対策本部長も務めている中山氏は、記者団に「心から猛省し、おわび申し上げたい」とした上で、職務を続ける意向を示した。連絡ミスだとして、「防衛省全体の緊張感が足りなかった」と釈明したが、加藤勝信官房長官や岸信夫防衛相から厳重注意を受けた。
19日の参院本会議で、三原氏の遅刻を巡り「誠に遺憾だ」と陳謝したばかりの菅首相は、「議会関係の皆さんにご迷惑をかけて申し訳ない」と再び陳謝。政府は臨時の副大臣・政務官会合を開催し、再発防止の徹底を呼び掛けた。
共産党の志位和夫委員長は「繰り返されたとなると、首相の求心力に疑問符が付く」と批判。立民の泉健太政調会長は「気の緩みでは済まされない。出処進退を判断すべきだ」と、辞任を要求した。
与党の不安は、窮屈な審議日程。今国会の会期末は6月16日で、7月に東京都議選や東京五輪開幕を控え、大幅延長は難しい。これ以上、野党に追及材料を与えれば、自衛隊基地や原発周辺の土地利用を規制する法案などの審議に波及しかねない。与党幹部は「お粗末だ」とこぼした。