「入院率」悪化も実態反映せず? 自治体要請でステージ不適用

新型コロナウイルスの感染者が入院できている割合を示す「入院率」が医療状況の逼迫(ひっぱく)度合いを示すステージ3や4の基準より悪化していても、自治体の要請で適用されていないケースもある。緊急事態宣言が発令されている福岡と愛知は21日公表時点で全国で最悪の水準だが、ステージが適用されておらず、実態が反映されていないおそれもある。
入院率は各都道府県のPCR検査陽性者のうち入院者と入院確定者数の割合を表した数値。値が低いほど、本来は入院する必要があっても入院できず、自宅や施設で療養する人が増えていることを指す。医療の逼迫状況を把握するために4月16日に新たに追加された。
厚生労働省がまとめた全国のデータによると、人口10万人当たりの療養者数が10人以上で、入院率がステージ3を示す40%以下やステージ4を示す25%以下の自治体は5月21日時点で24都道府県あるが、実際にステージ3以上とされているのは15都道府県に止まっている。
厚労省は、(1)人口10万人当たりの療養者数が10人未満(2)感染者が感染を届け出た翌日中に療養場所の種別が決定(3)同日中に入院が必要な者は入院している-と自治体から報告があった場合にはステージの判断は行われず、「参考値」として公表される。
感染者、療養者が高止まりしている福岡では入院率以外の指標はステージ4に到達。入院率は大阪に次いで全国で2番目に低い15・7%でステージ4に匹敵するが、適用されていない。
福岡県の担当者は「感染者が感染を届け出た翌日中に療養場所の種別が決定しているのでステージは適用していない」とする。
感染拡大が続いている愛知も16・2%だったが、ステージは適用されていない。担当者は「全員を入院させる方針ではなく、病状がない人は自宅療養などにしているため、入院率は低くなっているが、入院が必要な人は入院できており、逼迫してはいない」と説明する。
厚労省は「各自治体からの申告を基にしており、誤解のないよう数値も参考として公表している」とする。
東京医科大の濱田篤郎特任教授は「医療の逼迫を知る上で重要な指標として政府が新たに追加した。自宅療養やホテル療養が増えていることを示すため、全国一律でやるべきではないか」と指摘している。