大分県職員過労自殺 遺族が損賠提訴へ 父「無念晴らしたい」

大分県の男性職員が2018年6月、過労死ラインを超える時間外労働の末に職場で自殺したのは、県の安全配慮義務違反に当たるとして、職員の遺族が24日、記者会見して県に損害賠償を求めて8月にも大分地裁に提訴することを明らかにした。職員の父親は「息子がどうして苦しみながら死ななければならなかったのか知りたい。彼の無念を晴らしたい」と訴えた。
自殺したのは14年4月に入庁し、18年4月に福祉保健企画課に異動した富松大貴さん(当時26歳)。決算業務を担当し、弁護士によると異動後の4月から月100時間を超える時間外労働をして、同年6月9日午後11時ごろ、職場で亡くなった。家族には亡くなる1カ月以上前から無料通信アプリ「LINE(ライン)」で「なんで自分ばかりこんなに追い詰められるのかという気持ちばかりです」「もう嫌や つらい つらい 休めないほど忙しい 逃げたい もう帰りたい… 死にたい」と訴えていた。
県は19年6月に報道で明らかになるまで富松さんが自殺したことを公表しておらず、理由について「遺族に配慮した」と説明。父幹夫さん(62)は「息子の死を隠蔽(いんぺい)していたと捉えられても仕方がない。憤りを感じている」と話す。
遺族は19年6月、自殺は過重労働でうつ病を発症したのが原因として、地方公務員災害補償基金大分県支部(支部長=広瀬勝貞知事)に公務災害の認定を申請。同支部は今月21日付で、死亡直前の1カ月間の時間外労働が102時間に上り、公務が原因で精神疾患を発症したとして公務災害を認定した。
一方で富松さんが担当していた決算業務の難しさや前任者からの引き継ぎが不十分だったことについては認めなかった。時間外労働についても、遺族がパソコンの使用時間などを基に算出した時間より少なく認定した。
会見した幹夫さんは県を相手に提訴する意向を明らかにして「認定書の中身は納得しがたいものがある。あの世で息子と会った時に『お父さん頑張ったよ』と言えるよう一生懸命やっていく」と声を絞り出した。県支部に対してはどのような理由で公務災害を認定したか開示請求する。
県人事課の渡辺淳一課長は「職員の自殺を食い止めることができなかったことは非常に残念で、ご家族に対して申し訳なく思っている。認定を真摯(しんし)に受け止め、職員の働き方改革を進めていきたい」と話した。【石井尚】