松川事件70年で全国集会=冤罪「裁判構造に要因」―福島

戦後最大級の冤罪(えんざい)事件と言われる「松川事件」から70年がたったことを受け、福島市で21日、全国集会が開かれた。冤罪事件を扱った映画を手掛けた周防正行監督が講演し、「日本の裁判そのものの構造に冤罪を起こす要因がある」と話し、司法制度の改善を訴えた。
松川事件は1949年8月、福島県松川町(現福島市)で旧国鉄列車がレールを外された区間で転覆し、乗務員3人が死亡した事件。起訴された国鉄労働組合員ら20人が一、二審で死刑を含む有罪判決を受けたが、63年の差し戻し上告審で全員の無罪が確定した。
周防さんは講演で、否認していると保釈されない「人質司法」や、検察官が持つ証拠の開示制限、捜査段階の自白調書を重視する「調書裁判」を問題視。「この三つを解消すると、冤罪がなくなる方向に少し進むのでは」と語った。
集会は22日も続き、67年に大工の男性が殺害された「布川事件」で再審無罪が確定した桜井昌司さんらによるシンポジウムなどが開かれる。