東京と全国20の政令市で、新型コロナウイルス感染者の病院搬送などを担う救急隊員らへのワクチン接種が進んでいない。医師への接種を先行させるなどの判断が影響しているとみられ、自治体が接種の加速化に向け動き出している。
千葉市美浜区の美浜消防署。25日午前、出動の指示を受けた救急隊員の3人がゴーグルやマスクを着け、救急車に慌ただしく乗り込んだ。
千葉市消防局では昨年4月から、救急隊員たちの感染防止策を強化している。ワクチン接種は今月2日から始まり、対象の約750人の82%が1回目の接種を終えた。6月中旬には2回の接種が完了する見通しだ。美浜消防署の救急隊長、坂本剛さん(43)は「隊員が感染すれば、救急車を動かせなくなったり、出動先で広めてしまったりするかもしれない。ワクチンを打ち、安心感が生まれた」と話す。
北九州市消防局では昨年、感染者を搬送した救急隊員の感染が確認されており、接種完了を急ぐ。宿泊療養施設などにいる感染者の病院への移送を担う坂口昌彦さん(45)は、現在も1日1~2人の感染者と接するという。24日に1回目の接種を受けたが「感染しても、させてもいけないという不安と緊張を常に抱えている」と明かす。
総務省消防庁によると、今年3月29日~4月25日、救急隊が患者搬送時に現場に1時間以上とどまった事例は少なくとも計927件確認されている。大阪市では4月、感染者の搬送先が46時間以上決まらなかったケースもあった。
救急隊員を含む医療従事者へのワクチン接種は3月上旬から本格化したが、接種の進め方は自治体やワクチン配分を受けた医療機関の判断により異なり、各地で接種率に差が生じた。
神戸市は救急隊員ら消防職員を、感染者を受け入れる医療機関の医師らの次に接種すべき対象と位置付け、ワクチンの一部を市が消防職員用に確保。4月中旬からの1か月余りで、対象の約1300人全員に2回の接種をほぼ終えた。