茨城・日立の妻子6人殺害初公判 被告「記憶がない」無罪主張

2017年に茨城県日立市の県営アパートで妻子6人を殺害し、建物に火を付けたとして、殺人と非現住建造物等放火の罪などに問われた同市の無職、小松博文被告(36)の裁判員裁判初公判が31日、水戸地裁(結城剛行裁判長)であり、小松被告は起訴内容について「記憶がなく、分からないとしか言えない」と述べた。弁護側は、被告が心神喪失状態にあったとして無罪を主張した。
起訴内容の認否に先立ち、弁護側は被告が勾留中の18年11月に心肺停止となり、事件当時の記憶を喪失したと指摘。「訴訟能力がない」として公判停止を求めたが、地裁は「意思疎通は可能」と退けた。
検察側は冒頭陳述で「あらかじめ包丁やガソリンを準備した計画的な犯行。直後に出頭して具体的に供述した」と指摘した。弁護側は「妻との別れ話から善悪の判断能力が失われ、事件当時も心神喪失状態にあった。凶器は自殺のために購入したもの」と主張した。
小松被告は、今回の事件前に偽造運転免許証で預金通帳を作るなどした詐欺罪にも問われ、裁判の長期化を避けるために区分審理されていた。この裁判でも弁護側は公判停止を申し立てたが、結城裁判長は訴訟能力を認定し、21年3月に有罪の部分判決を言い渡している。
起訴状などによると、小松被告は17年10月6日未明、自宅で妻の恵さん(当時33歳)と同3~11歳の子ども5人を包丁で複数回刺し、玄関付近にガソリンをまいて放火、死亡させたとされる。判決は6月30日の予定。【森永亨、長屋美乃里】