新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化するなかで、キャンセル時の余剰ワクチンを誰に打つかというルールが各地で作られている。接種候補者をリスト化する自治体もあり、対象は感染リスクが高いとされる保育士だったり、連絡体制が組みやすい教職員だったりとさまざまだ。余剰分を首長がこっそり打っていたことが明るみに出たこともあり、透明性を図る狙いもあるようだ。
京都市は、医療機関で行われている個別接種で当日にキャンセルがあった場合に備え、代わりに接種できる人のリスト化などを各医療機関に求めている。リストの候補者は、翌日の接種予定者▽医療従事者▽接種券を持つ高齢者――ら。それでも余る場合を想定し、各区役所でもケースワーカーや保健師、窓口勤務の人らを載せたリストを作っている。医療機関から相談があれば、すぐに駆けつけられる人を選んで連絡し、接種を受けてもらう。2日現在、リストに基づいて11人が接種を受けた。
神戸市は、マスク着用が難しい相手と接する職種の人に、集団接種会場で余ったワクチンを打つルールを設けた。対象はケアマネジャーや保育士、特別支援学校の教職員らで計約1万7000人。当日に連絡したり、会場で待機したりしてもらうという。市では接種が始まった5月10日以降、同31日までに3万7064人から予約があり、急なキャンセルで502人分が余った。ルールができる同27日までは、看護師や薬剤師ら会場スタッフに余剰分を接種していたという。
岡山市は教職員らを対象にする。市内の小中学校に勤める約5300人を医療機関ごとにリスト化し、キャンセルが発生すれば医療機関から連絡してもらう。教職員を選んだ理由について、市は「学校でクラスター(感染者集団)を発生させないようにするため。連絡体制も組みやすい」と説明する。
「自治体首長」は判断分かれる
接種対象に自治体トップの首長を含めるかどうかについては、判断が分かれている。兵庫県川西市の越田謙治郎市長(43)は5月27日、1日最大10回分と見込まれる余剰ワクチンについて、自身を接種対象とする方針を明らかにした。「コロナ対策を含む危機管理の最高責任者」(市長)であることが理由だ。まずは集団接種会場の運営担当者である職員に接種し、市長はその次になるという。
これに対し、京都府宇治市の松村淳子(あつこ)市長(63)は、余剰ワクチンの接種は受けないというスタンスだ。医師免許を持つが、記者会見で「私は医療職でも接種担当者でもなく、優先して受けるつもりはない」と説明した。市は「バンク」制度を設けており、高齢者福祉サービスの従事者に余剰ワクチンを打つ。
余ったワクチンを巡っては、首長が住民に説明しないまま接種を受けるケースが各地で明らかになった。このため、大阪府は府内の市町村に対し、余剰ワクチンを打つ対象を事前に決めて公表し、透明化を図るよう求めている。このうち千早赤阪村では、ワクチンの「おまかせ予約」をした住民に接種するルールを設け、ホームページで公表した。おまかせ予約は郵送で申し込み、接種日時は役場に任せる仕組み。余剰ワクチンが生じた場合は、受け付け順で対象を決める。【添島香苗、山本真也、松室花実、上野宏人】