「孫が…」慌てる80代に15回「詐欺です」 運転手、被害防ぐ

「孫がトイレに300万円を置き忘れてしまって……」。5月25日午後3時半ごろ、タクシーに乗ってきた80代の女性は、葵(あおい)タクシー(福島県会津若松市)の折笠浩二運転手(69)に、そう話しかけてきた。
不審に思った折笠さんは「詐欺ではないですか」と返した。話を聞くと、大阪に住む「孫」から自宅に電話があったという。女性は「声がよく似ているの」と信じ切っていた。
女性は近所のスーパーマーケットに設置されたATMで現金を引き出し、再び乗車すると、「300万円はないから50万円だけ用意した」と打ち明けた。自宅に戻るよう命ぜられた折笠さんは「お孫さんに電話して確認してください」「詐欺ですよ」と口酸っぱく言い続けた。
帰宅した女性は同居する親族に相談。孫に連絡を取り、事件だと気付いた。その後、孫になりすました男から電話があったが、「本人でないと50万円は渡さない」と言い返すと、ぴたりと電話は来なくなったという。
折笠さんは2日、詐欺未遂事件を防いだとして、県警会津若松署から感謝状が贈られた。折笠さんは「ニュースでよく耳にする言葉が女性から出てきたので『詐欺だよ』と15回は伝えた。被害がなくて良かった」と振り返った。
生田目剛署長は「被害者は子どもや孫を助けたい一心で夢中になっている。周りで気が付いた人が声を掛けて注意を促してあげることが非常に大事」と話した。【玉城達郎】