「表現の不自由展」会場を変更 予定のギャラリーに抗議押し寄せ

東京都内のギャラリーで25日から開催を予定していた「表現の不自由展・その後 東京EDITION&特別展」(東京展)の実行委員が10日、開催への抗議活動を受け、会場を変更し、時期を再調整して開催する方針を明らかにした。実行委が同日、東京都千代田区の衆院議員会館で記者会見を開いた。
同展は、愛知県で2019年に開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(あいトリ)で激しい抗議を受け一時中止した企画展「表現の不自由展・その後」を東京でより多くの人に見てもらおうと編集者らで構成する実行委が企画。7月4日まで東京都新宿区のギャラリー「セッションハウス・ガーデン」で開催する予定だった。
記者会見に臨んだ実行委の岡本有佳さん(58)によると、東京での開催を公表した翌日の6月4日からギャラリーの電話やメール宛てに抗議が寄せられるようになった。同6日には最大26人が複数の車でギャラリー前に押し寄せた。大声で「場所を貸すな」「反日展示会を中止しろ」などと叫ぶ人物もいたという。現場周辺の道幅は狭く、近隣住民から警視庁牛込署に苦情の連絡もあった。
こうした事態を受け、ギャラリーの男性オーナーから貸し出し撤回の打診があり、実行委が出品しているアーティストらと協議した結果、会場変更を決めた。今回、実行委は同展のチラシに問い合わせの電話番号とメールアドレスを公開したが、その問い合わせ先への抗議はほとんどなく、抗議はギャラリーに集中。会見では、オーナーによる「苦渋の決断だった」とのコメントも読み上げられ、ギャラリーと同じ建物にあるダンススタジオに通う子どもらへの影響の懸念も表明された。
東京展では愛知で展示した「平和の少女像」や、アーティストの大浦信行さんの版画「遠近を抱えて」など計18組の作品を展示する。実行委の岩崎貞明さん(57)は「不当な攻撃には屈しない。何らかの形でやり抜くということしか選択肢はない」と語り、岡本さんも「日に日に励ましのメールが増えている。すでに来場を予約してくれた550人以上の鑑賞の機会を必ず守る」と力を込めた。
「表現の不自由展」は岡本さんらが「表現の自由の意味を考える機会にしたい」と、さまざまな理由で公開中止に追い込まれた作品を集め、15年に東京都練馬区で初めて開催。その後、あいトリ、韓国、台湾で開催を重ね、今回が5回目の企画となる。【平林由梨】