伊香保の廃虚ホテル撤去へ 石段街周辺再生計画、国が3億円補助

群馬県渋川市の伊香保温泉の石段街周辺を再生する計画が、観光庁の補助事業「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」に採択された。総事業費約6億6000万円のうち約3億円が補助される。コロナ禍の苦境が続く中、収束後を見据えて設備投資し、温泉街の魅力アップに取り組む。
温泉街では昨年9月、伊香保神社近くで、閉館中のホテルと周辺の2店舗が全焼する火災が発生した。廃虚になったホテルは温泉街の景観を大きく損ねており、撤去が課題だったが、撤去費用の半額(上限1億円)が補助されることになった。跡地は手洗い場や広場として再生する予定だ。
残る事業では、それぞれの旅館やホテルなどが、客室露天風呂やスイートルームなどを設置する高付加価値化に取り組むことで、温泉街全体の魅力と収益力のアップを目指す。事業は2022年2月末までに完了させる。
渋川伊香保温泉観光協会の関口征治会長によると、コロナ禍となる前から、団体客が中心だった観光地は将来的に個人や少人数の客が中心になるとみられていた。関口会長は「コロナ禍によって、その動きが5年早まった。高付加価値化で客単価を上げていく」と事業の狙いを説明する。
伊香保温泉は18年、宿泊者数105万人、観光消費額約132億円だったが、コロナ禍となった20年は宿泊者数67万人、消費額83億円に大きく落ち込んだ。事業を進めた後の23年にはこれを反転させ、宿泊者数は18年比110%の115万人、消費額も同115%の151億円を目指す。
苦境の中での積極策について関口会長は「(コロナ禍で)本来は投資ができるような状況ではないが、事業採択でそれを実現できる」と話した。同市の高木勉市長も「ピンチをチャンスに変え、伊香保温泉を再生したい」と意気込んでいる。【庄司哲也】