【池袋暴走事故公判詳報】(1)「妻と娘の名前言えますか」 遺族の被告人質問始まる

《東京・池袋で平成31年4月、乗用車が暴走して通行人を次々とはね、松永真菜(まな)さん=当時(31)=と長女、莉子(りこ)ちゃん=同(3)=が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)の公判が21日、東京地裁(下津健司裁判長)で始まった。この日は真菜さんの夫、拓也さん(34)ら遺族が被害者参加制度を利用して被告人質問を実施する》
《午後1時半ごろ、飯塚被告が弁護人に車いすを押され、軽く一礼しながら入廷した。松永さんはすでに検察官席に着席している。裁判長はきょうの公判で松永さんら3人が質問することを確認。傍聴席から「声が小さくて聞こえない」との声が上がり、裁判長が改めて説明し直す。飯塚被告が車いすを押されて証言台に向かうと、松永さんが質問事項を書いた紙を手に立ち上がった》
松永さん「被害者参加人の松永拓也から質問します。妻と娘の名前を言えますか」
飯塚被告「はい。真菜さんと莉子さんです」
松永さん「名前を漢字で書くことができますか」
飯塚被告「『真』という字に…記憶が定かでないですが、菜の花の『菜』だと思います。莉子さんは難しい字なので、ちょっと書いてみることができないと思います。申し訳ありません」
《松永さんは手元の紙と飯塚被告の顔を交互に見ながら、冷静な口調で質問を重ねていく》
松永さん「あなたは裁判で一度も2人の名前を言っていませんね」
飯塚被告「ええ…。今までちょっとそういう機会がなかったと思っています」
松永さん「証拠の中にあった2人の写真を見ていますか」
飯塚被告「はい、拝見しました」
松永さん「どんな写真でしたか」
飯塚被告「家族でご一緒に、楽しそうな写真だったと思います」
松永さん「具体的には」
飯塚被告「例えばクリスマスのときに、莉子さんがお菓子を片手に持って、手をあげているような写真でした」
松永さん「写真を見てどう思いましたか」
飯塚被告「かわいい方を亡くしてしまって、本当に申し訳ないと思っております」
松永さん「他に覚えている写真はありますか」
飯塚被告「はい、3人で撮られた、遊園地だったかプールだったか、楽しそうな写真を拝見したと思っております」
《5分間ほど真菜さんと莉子さんのことについて飯塚被告に確認した松永さん。質問内容は前回の被告人質問で、飯塚被告が「記憶違いがあった」と述べた部分へと進んでいく》