伊吹氏引退表明 ライバル「寂寥感に襲われた」

次期衆院選への出馬を見送り、昭和58年の初当選以来、連続12期38年の議員生活からの引退を表明した自民党の伊吹文明元衆院議長(83)=京都1区。歯に衣(きぬ)着せぬ「伊吹節」で知られるが、28日に京都府庁で開かれた会見では淡々と引退理由を語った。党幹事長や財務相といった要職を歴任し、文化庁の京都移転など地元の発展にも貢献。多くの人が重鎮の引退を惜しんだ。
「突然のことで驚かれたと思う」。グレーのスーツ姿で会見場に現れた伊吹氏は、腕組みをしながらこう切り出した。
引退の理由について、自身の年齢や、議員活動を支える家族や事務所スタッフの体力面を考慮したと説明。「私がしっかりとしている間に、後任に引き継がなければならないという思いで決断した」と語った。
生家は江戸時代から続く室町の繊維問屋。「よく当選できたのはそのおかげで、ずいぶん得をした。恩返しをしなければとの思いでやってきた」と議員生活を振り返った。
「政界のご意見番」としても知られる。昨年には、日本学術会議の任命拒否問題で、野党や学術会議側に「『学問の自由』といえば、水戸黄門の印籠の下にひれ伏さなくてはならないのか。学術会議の肩書で政治的な発言をするのは自粛しないといけない」と語っていた。
会見では、残り僅かな任期について「1区の自民党の〝ともしび〟を守るために、全力を傾注したい」と述べ、表情を引き締めた。
伊吹氏の引退表明について、西脇隆俊知事は「大変驚いている。引退の決意は残念だが、今後とも府政の推進についてご指導をお願いしたい」とコメント。
長年にわたって京都1区で議席を争ってきた共産党の穀田恵二国対委員長(74)は「中選挙区も含めて計9回戦った究極で永遠のライバルが引退されると聞き、寂寥感(せきりょうかん)に襲われた。最後にもう一度雌雄を決したかった」と惜しんだ。(桑村大、園田和洋)