盛り土 厚さ15メートルの計画、実際は50メートル 熱海土石流

静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で起きた土石流災害で、同県の難波喬司副知事は7日、緊急記者会見を開き、土石流の起点付近にあった盛り土について「工法が不適切だった。盛り土の土砂が災害を甚大にした」と語った。以前に土地を所有していた会社は2009年、厚さ15メートルの盛り土をするとの計画を示していたが、20年の地形データによると、約50メートルまで積み上がっていた。この会社に対しては再三、行政指導をしていたという。
盛り土のあった土地は06年、現在の所有者と異なる会社が取得した。この会社は07年、約3万6000立方メートルの盛り土をする届け出を熱海市に提出して受理された。その後、林地開発許可違反が判明し、県は是正を指導。是正後の09年から土砂の搬入を始めたものの、10年に盛り土に産業廃棄物(木くず)の混入が判明し、県と熱海市が撤去を求めた。市は工事の中止なども要請していた。この会社は中止要請に応じないまま、土地所有者は11年に別の個人に変更された。
この会社は09年、厚さ15メートルの盛り土をするとしていた。しかし県が20年にレーザー光の照射で把握した地形データでは、厚さは約50メートルに達していた。県の技術基準では盛り土の厚さは原則15メートル以内としている。
難波氏は「厚さ15メートルに耐える設計だったものが、50メートルまで積めば持つはずがない」と説明。発生後に現地を視察した際、崩落部分から水が出ていたといい「盛り土が(谷筋に)ふたをした形になり水がどんどんたまる」と指摘した上で「長雨で水が蓄積し、耐えられずに落ちた」としている。
周辺では盛り土のほか、宅地造成、太陽光発電施設の設置など計7カ所の土地改変、開発行為があった。太陽光発電施設については傾斜があるため周辺の水が盛り土と反対側に流れていることから、難波氏は土石流との関係について「影響は極めて小さい」と指摘。「盛り土以外の6カ所の影響はあまりない」とした。地形の電子データから、崩落した盛り土の量は5万立方メートル、土石流全体は約10万立方メートルと推定されている。
土石流災害による死者は7人。安否不明者は2人の生存が確認され、25人となった。避難者は7日午後4時時点で545人。【山田英之、佐々木彩夏、長沢英次】