熱海の土石流、県の対応“二転三転” 発生原因めぐり「危険の認識ない」→「是正指導あった」 関係者指摘「激甚災害指定を優先したのでは」

静岡県熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、自衛隊や警察、消防による不明者の救出作業やがれきの除去作業、地域連携の被災者支援が続いている。土石流の原因をめぐっては現場近くの盛り土や大規模太陽光発電設備(メガソーラー)などの検証が不可欠だが、県側の見解が二転三転しているようだ。その背景を県関係者が証言した。
7日の熱海市は、最高気温が30度を記録、現場となった伊豆山地区は昼ごろには強風にも見舞われた。
大規模な土石流は東海道新幹線の線路下の付近にも達し、道に流れ出した土砂は家屋の1階部分を埋めつくす高さにも達していた。東海道線の車窓からは多くの乗客が懸命な土石流の除去作業の様子を見守っていた。
崩落現場周辺の住民らは、大浴場も開放する市内のホテルなどに身を寄せている。
盛り土については、神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)の元幹部は「熱海市に届け出て盛り土をした。豪雨はこれまでもあったが、崩れることはなかった」と強調。現在の所有者は弁護士を通じ「盛り土があることを知らずに11年にこの土地を購入した。その後も、盛り土をしたことはない」と、いずれも責任を否定している。
現場近くに住む男性は「崩落現場近くの工事に出ていたのだと思うが、数年前から自宅近くをダンプカーが通る様子を見かけた」と証言する。
静岡県の川勝平太知事は、土石流の直接の発生原因は長雨としつつ盛り土の存在が「被害を甚大化させた」と言及した。6日には県の担当者が盛り土について「不適正な点はなく、危険な状態との認識もない」と説明。しかし7日には、難波喬司副知事が記者会見で、地域一帯で行われた土地の整備に問題があったとの見解を示し、過去に周辺で土地改変をしていた業者に県と熱海市が是正指導を行ったことがあったと認めた。
こうした県の姿勢について、ある県関係者は、災害復旧事業への国の補助率を上積みする「激甚災害指定」との関連があるのではないかと指摘する。
「今回の土石流は被害規模は大きいが、被害が拡大した要因に人災の側面が強く影響していれば、激甚災害指定を受けられない可能性が浮上する。県としては指定を受けて国から援助を受けることを優先し、その後、原因究明には現場の盛り土や周辺のメガソーラーなど人災の側面を検証する考えもあったのではないか」
国からの援助も重要だが、原因や責任の追及も迅速に進めてほしい。