土石流の泥、ボランティア阻む…コロナで全国募集もできず

大規模な土石流が起きた静岡県熱海市では、1週間以上が経過した現在も、被災者を支援する本格的なボランティア活動のメドが立っていない。被害の大きい

伊豆山
(いずさん)地区には大量の泥が残っており、二次災害の危険があるからだ。さらに、新型コロナウイルスの感染対策で、全国に広く募集を呼びかけることもできず、関係者は頭を悩ませている。
11日夕、捜索現場に張られた規制線の外側に位置する同市の住宅街。地元の若者らが急な階段を上り下りしながら高齢者宅を訪ね、弁当や湿布を配っていた。受け取った女性(87)は「足が不自由なのでありがたい」と笑顔を見せた。
災害前、この女性は自宅近くまで来る移動販売の業者から、食品や日用品を購入していた。だが、がれき交じりの土砂が自宅周辺の道路まで押し寄せ、周辺道路は以前のように車両が通行できなくなっている。
このため、必要な物資が届かず、地元の若者らの善意に頼っている。こうした支援の必要な高齢者らは、女性の周辺にも約50人いる。
しかし、支援側の若者らも自宅などが被災している。参加した自営業の男性(35)は「自分の生活再建も必要だ。この活動も、あと数日が限界」と打ち明ける。
頼みの綱は、大規模な地震や水害時に全国から集まるボランティアだ。しかし今回、受け入れ時期の見通しは立っていない。
警察や消防、自衛隊などによる捜索活動は、雨や土砂の崩落でたびたび中断されている。二次災害を防ぐため、周辺は広く立ち入りが規制されている。
新型コロナウイルスへの懸念も、ボランティアの動員を阻む。人流が増えることでウイルスが持ち込まれ、感染が広がる恐れがあるからだ。市社会福祉協議会の黒川宣夫さん(52)は「PCR検査を実施する余裕はない。コロナ禍と大災害が重なってしまった」と語る。
市の社会福祉協議会は5日にボランティアセンターを設置したが、感染拡大防止のため、参加者を県東部の住民に限定した。それでも11日夕の段階で約3400人が登録し、住宅からの泥のかき出しといった活動が期待されている。
黒川さんは「現場で安全に活動できるようになったら、すぐに受け入れられるように、準備だけは整えたい」と話している。