働き盛りの後回しは妥当か 40~50代はワクチン“置き去り世代” 接種6000万回突破も「重症者が増えたら社会崩壊を招く」

国内の新型コロナウイルスワクチン接種は12日時点で6000万回を突破し、65歳以上の1回接種率は約76%、2回接種率は約47%に達した。高齢者の感染や重症化の減少傾向は顕著だが、置き去りの感があるのが働き盛りの世代だ。感染「第5波」で40~50代の重症者が増えつつあるのに接種が“後回し”とはおかしくないか。
東京都のモニタリング会議の資料によると、入院患者の年代別比率は3月時点で70~80代が40~50%、40~50代は20%前後だったが、7月7日時点で50代が約21%と最多で、次いで40代が約18%だった。
12日時点の重症者55人の内訳も70代の18人に続いて多いのが50代の16人だ。小池百合子都知事も「50代問題への重点的な対応」が必要だと語る。
“8割おじさん”こと京都大の西浦博教授らのチームによる試算では、8月上旬に重症者用の病床使用率が70%を超えるが、重症者は40~50代が中心だとした。
東北大災害科学国際研究所の児玉栄一教授(災害感染症学)は「変異株により若年者の重症化率が1・5~2倍程度に上がるという報告もある。また、高齢者の重症化が減って自粛ムードがゆるむことも懸念される」と語る。
20~30代は感染しても比較的軽症や無症状が多いが、40~50代は安心できない。「重症者数の絶対値は減るとみられるが、年齢が高くなるにつれて多い肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病も重症化のリスク要因になる」(児玉氏)と指摘する。
しかし、40~50代より若者を優先する自治体もある。東京都新宿区は約11万人いる20~30代の予約を7日から開始したが、40~59歳は20日からだ。杉並区も6日から12~39歳の予約を先行して始めており、40~59歳の予約開始は14日からだ。
接種が前倒しで進んでいる自治体の住民や、職場での接種が行われる人はいいが、接種券が届いたものの予約のめどが立たない人も少なくない。ワクチンの接種が加速していることから一部の自治体で供給が絞られていることも懸念材料だ。
ツイッターでも「働いてる40~50代の重症者が増えたら社会崩壊を招く」「働き盛り40~50代の希望者には早く接種してほしい」などの声が聞かれている。
現在の接種体制は適切なのか。
児玉氏は「実際のところ、非高齢者の各世代で順番を変えて接種するシミュレーションも実施されたが、感染動向に大差はないとの結果が一部で出ている。予約がパンクすることを避けるためにも、自治体ごとに人口比や医療体制の確保状況をみて判断するのが望ましい」と述べた。