「露骨な圧力」菅政権に批判噴出 酒の取引停止要請で西村氏の発言撤回も…識者「常識からかけ離れている。次期衆院選のダメージ大きい」

菅義偉政権が混乱している。新型コロナウイルス対策で、酒類提供を続ける飲食店との取引停止を求めた販売事業者への要請を13日夜、撤回したのだ。苦境に立つ業界や与野党から「露骨な圧力」などと、批判が噴出していた。取引金融機関から自粛を働き掛けてもらう措置に続いての前言撤回。14、15日に衆参両院内閣委員会の閉会中審査が開かれるが、厳しい追及は必至だ。次期衆院選のダメージも避けられそうにない。

「多くの皆さまに大変ご迷惑をおかけした。おわび申し上げたい」
菅首相は14日朝、酒の販売事業者に対し、酒類提供を続ける飲食店との取引をしないよう要請し、13日夜に撤回したことについて、こう陳謝した。官邸で記者団の質問に答えた。
主導した西村康稔経済再生担当相は13日の記者会見で、金融機関経由の働きかけの撤回について、「私の発言で混乱を招き、飲食店の皆さまに不安を与えることになってしまった。何とか感染を抑えたいという強い思いではあったが、趣旨を十分に伝えきれず反省している」と謝罪した。
西村氏は会見で、菅首相らが出席した7日の関係閣僚会議で、事務方が働きかけの方針を事前説明していたことも明かした。西村氏の発言を「承知していない」と9日に述べた菅首相との食い違いが表面化した。
閣内の不協和音も感じられる。
麻生太郎財務相兼金融担当相は13日の会見で、「普通に考えればおかしい。ほっとけばいいと(秘書官に)言った」と語り、梶山弘志経産相は「強い違和感を覚えた」ため自身は了承していないと述べた。
閉会中審査を見据えて野党は追及姿勢だ。
立憲民主党の枝野幸男代表は党会合で、「西村氏個人にとどまらず、政権全体の問題だ」と批判した。
東京五輪直前、支持率低下が指摘される菅内閣の混乱をどう見るか。
政治評論家の小林吉弥氏は「コロナ禍で飲食店の経営が厳しいことは誰でも分かるなか、菅政権が常識からかけ離れている印象を国民に与えた。前言撤回を繰り返しても、支持離れが考えられる。自民党にとって次期衆院選に向けたダメージが大きい。閣内不一致もいわれるが、派閥を持っていない菅首相の指導力のなさもみえている。内閣支持率が30%を切ったところで引導を渡される展開も予想される」と語っている。