静岡県熱海市
伊豆山
(いずさん)地区で発生した大規模な土石流の影響で、直接の被害を受けていない市内の宿泊施設にもキャンセルが出ている。熱海は首都圏からの観光客が多く、新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい状況が続く中、追い打ちをかける事態に関係者からは苦しい声が聞かれる。
「熱海全てが被災したと認識されている。今熱海に行くのは気の毒だ、という雰囲気も感じる」。「熱海温泉 旅館立花」社長の島田善一さん(63)が現状を説明する。
宿泊予約キャンセルは、今月3日の災害発生後から入り始め、名物の海上花火大会の一部中止が決まった12日以降にはさらに増えたという。
70年の歴史がある海上花火大会は、夏には計5~8日間開催し、計約20万人が訪れる集客の売り物だった。コロナ下の昨夏も人数制限をかけて実施した。今夏も6日間開催する予定だったが、市などは行方不明者の捜索活動が続いていることをかんがみ、前半3日間の中止を決めた。
市内3か所の海水浴場も、「17人が行方不明のなかで、なかなか『お越しください』と言えない」(斉藤栄・熱海市長)と今夏の開設が見送られた。
島田さんは、8月の宿泊予約はコロナ前の2割程度にとどまっているといい、「どこからも厳しい声が上がっている」と話す。
被災は伊豆山地区に限定されているが、発生以降、1キロ以上離れたJR熱海駅前など中心地の人出も減少している。
土産店などが連なる駅前の平和通り商店街にある土産店の女性従業員(48)によると、近隣では昨年から、シャッターを下ろす店舗も目につくようになった。女性は「こういう状況でも熱海を元気づけようと家族連れで来てくれる人もいるので、うちは開けて迎え入れたい」と気丈に話した。