静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区の土石流で、原因究明の中心になっている難波喬司副知事は15日までに、行政の不備を認めた。崩落した盛り土の造成に関係する県条例は、隣接する神奈川県に比べて規制が緩いため。県は遅くても年度内に県条例を改正して、盛り土造成に対する規制を強化する方針。法律に基づいて、国に全国一律の基準を示すことも求めている。【山田英之】
三重県では面積3000平方メートル以上、高さ1メートルを超える盛り土をする場合、事業者は条例で許可申請する必要がある。加えて許可を受けるため、周辺地域の住民に申請内容を説明することを事業者に求めている。
神奈川県でも2000平方メートル以上の盛り土をする場合、許可が必要。盛り土の土砂の堆積(たいせき)で生命、財産を害する恐れのある場合、神奈川県知事は、土砂の搬入を一定期間禁止することができる。
神奈川県内では基準に違反した土砂の埋め立てなど不適正な処理が、1992年度~98年度に計69件あった。土砂崩壊や流出による災害発生の恐れがあるため、業者を指導したが、現行法では対応できない部分があるため、県土砂の適正処理に関する条例を99年に制定した。
伊豆山地区で崩壊した盛り土をめぐっては、県の基準(原則高さ15メートル以内)の3倍を超える高さ最大52メートルまで盛られていた可能性があると県はみている。盛り土の量も申請の約3万6600立方メートルの約2倍、計7万立方メートルに達していたと推定。違法な盛り土が災害の原因とみている。
難波副知事は盛り土造成について「厳しい神奈川県で審査が通らなくても、規制の緩い静岡県でやれば楽だ。行政上の不備があったことは間違いない。現在の県条例ですごく厳しい審査をしたら裁量権を逸脱してしまう」と述べ、条例改正を急ぐ考えだ。
行政の責任について「神奈川県よりも県条例の規制が緩いことに気づかなかった。反省しないといけない。見過ごしていた私も悪い。システム全体をしっかり見直さないと再発を防げない」と説明した。
近隣の愛知、長野、山梨各県の条例も調べたうえで、県は応急措置として神奈川県条例の水準まで規制を強化する見通し。
この際、懲役刑を盛り込む場合、検察庁などと調整が必要。さらに県民の意見を募るパブリックコメントも実施するため、難波副知事は条例改正時期を「9月県議会は間に合わない。早くても12月議会。普通に考えると、来年2月か3月の議会」とみている。