ワクチン証明書 政府は活用策を前向きに探れ

ワクチン接種を済ませた人の行動制限をどう緩和していくか。海外や国内の動向を踏まえ、具体的な道筋を早期に打ち出す必要がある。
政府は26日から、新型コロナウイルスのワクチン接種証明書の交付申請を受け付ける。全国の市町村で対応する予定だ。
当面は、海外への渡航を予定する人が対象だ。証明書を提示すれば、相手国の防疫措置の緩和が受けられる場合を想定している。
外務省によると、イタリアやポーランドなど5か国が、入国時の隔離を免除するなどの緩和措置をとるという。国際的な往来の再開に向けた一助となろう。
日本は外国人の新規入国を原則として禁止しており、特段の事情で入国を認める人にも14日間の待機を求めている。相互主義の観点から、今回の証明書が通用する国は限られる結果となった。
希望者は、接種後に渡される接種済み証とパスポートなどを提出する。市町村は、国のシステムで接種履歴を確認し、ローマ字表記の氏名や接種年月日などが記載された証明書を発行するという。
窓口で混乱が生じないよう、政府と自治体は制度を周知し、事務体制を整えることが大切だ。
政府は今のところ、国内での利用を想定していないが、経済界では接種証明を活用し、制限緩和につなげるべきだとの声が強い。
経団連は、ワクチン証明の保持者に対して飲食代金や施設利用料を割引したり、イベントに活用したりすることを提言した。すでに、接種を証明できる書類の提示を条件に、サービスや割引などの特典を設ける企業も相次いでいる。
長く苦境に置かれた飲食やホテル業界などが、接種を終えた人の消費を喚起し、活路を見いだそうとするのは当然である。
一方、接種したくても病気などで受けられない人もいる。そうした人に不利益が生じないよう、PCR検査などの陰性証明を代替手段とする配慮は不可欠だ。
また、接種証明を入学や就職の条件とするといった不当な差別につながる行為は許されない。
接種証明をめぐって不適切な運用がなされないように、政府は早急に課題を整理し、活用の指針をまとめるべきだ。感染抑止と経済活動再開の両立を図るため、明確な線引きを示さねばならない。
欧米では、若い世代の接種率が頭打ちになっている国もある。政府は、ワクチンの意義を丁寧に説明し、若者に接種を呼びかける取り組みを進めてほしい。