まさかの「登録延期」勧告から3年。政府や地元関係者の再挑戦で26日、「奄美・沖縄」(鹿児島、沖縄両県)が世界自然遺産に決まった。大陸から分断された亜熱帯林で動植物が独自の進化を遂げた「奇跡の島」。島の人たちは歓喜とともに豊かな自然を後世に伝える決意を新たにした。
「世界自然遺産にすべき島だと言い続けてきた。念願がかなった」。鹿児島県・奄美大島で40年以上、環境保護に取り組んできた自然写真家、常田守さん(68)は日焼けした顔に深い笑いじわをつくった。鹿児島県名瀬市(現奄美市)出身。20代の頃、東京から島に戻り、歯科技工士の傍ら写真家、ガイドとして山に関わってきた。
「島民自身が価値を理解して守っていかなければならない」。世界自然遺産への登録で島民の意識が変わることを期待する。今も週3回は山に入り、環境省の自然公園指導員や自然観察会のガイドも務める。7月18日の観察会では地元の人たちを連れ、オキナワウラジロガシの巨木が群生する島北部の森に入った。森に分け入るのは初めての人が多く、滝や島固有の野鳥に感嘆の声が上がった。
「まず地元の人に島の魅力を知ってほしい。自然遺産になったからといってシンボル的な名所をつくる必要はなく、あれもこれも、どこでもシンボルになり得る奄美の自然を伝えていきたい」【神田和明】