大阪府が13日から新型コロナウイルス患者について新たな基準に基づく療養対応を始めたのは、患者の主な受け皿となっている軽症・中等症病床と宿泊療養施設が急速に埋まり始めているためだ。吉村洋文知事は3日、軽症者や無症状者については体調管理がしやすい宿泊療養を原則とする方針を維持するとしていたが、10日間で方針転換を余儀なくされた。今後は宿泊療養者や自宅療養者の容体急変リスクへの対応が鍵となる。
「中等症者や重症者が増え、医療資源も限られる。今後は宿泊療養施設に軽症用の医療機関の役割を持たせることを目指していく」
軽症・中等症病床の使用率64.6%
吉村知事は13日、宿泊療養施設の機能を充実させ、40歳以上の軽症・無症状者については宿泊療養での受け入れを基本とする考えを強調した。
13日現在、府が確保する軽症・中等症病床2534床に対して1638人が入院し、使用率は64・6%。2週間で約29ポイント悪化した。府は同日、約80の医療機関に計約490床を追加で確保するよう改正感染症法に基づき要請した。利用率のさらなる上昇が懸念される中、府は軽症・中等症病床をリスクの高い患者に優先的に振り向ける考えだ。
入院に至らない患者の受け入れ先となっている宿泊療養施設も13日現在で確保済みの4148室に対する利用率は61・2%で、2週間前から約23ポイントアップした。数値上は余裕があるように見えるが、入所者が入れ替わるたびに消毒や清掃で利用できない期間があるため、事実上の上限とされる60~70%の利用率に近づいている。
府は体制の強化を急いでおり、宿泊療養の室数を今月下旬までに約6000室に増やす。さらに事前に定めた日時に医師が療養先に往診し、患者の症状次第では入院へとつなぐ体制も整える。自宅療養者については、オンライン診療で患者を診た医師の判断などにより、外来診療を受けられるよう対応できる病院を確保した。
大阪健康安全基盤研究所の朝野(ともの)和典理事長(感染制御学)は取材に「医療資源などをより効果的に活用するために療養体制の基準を変更することは必要だ」と府の対応に理解を示す。40歳未満を原則、自宅療養とする対応については「本人が気付かないまま症状が悪化していることがあり、変化を見逃さないことが重要。保健所やかかりつけ医が確実にフォローできる体制を整えることが必要だ」と指摘している。【石川将来、矢追健介、近藤諭】