佐賀・六角川氾濫 「通報が鳴りやまない」 孤立多数

記録的な大雨が続く佐賀県内では14日、武雄市の六角川2カ所で氾濫し、被害が拡大している武雄市などを除いて床上浸水3棟、床下浸水24棟の被害が出た。今年の災害対策基本法改正で設定され、警戒レベルが最も高い「5」にあたる「緊急安全確保」も県内で初めて武雄市や嬉野市など13市町で出された。また県は武雄市、嬉野市、大町町の3市町に災害救助法を適用することも決めた。【井土映美、竹林静、高橋広之、峰下喜之】
佐賀広域消防局によると、佐賀市では14日、60代女性が屋外の階段で足を滑らせて転倒してけがをし、搬送された。同市の60代男性が転倒して川に転落したが、消防に救助された。いずれも命に別条はないという。また武雄市などを管轄する杵藤地区広域市町村圏組合消防本部は同日午前10時すぎ、毎日新聞の取材に対し「六角川関連の通報が鳴りやまない。『家に孤立した』との通報が多く寄せられている」と話した。多数の浸水があり、孤立した人たちをボートなどで救助した。
大町町の「大町温泉ひじり乃湯」を管理する上村清徳さん(45)は「山に近い温泉だから、裏山からダーッと1、2センチくらいの水が入ってきた」と話した。浸水した食堂や厨房、脱衣所を従業員で掃除しているが、「(大雨が降った)一昨年は1日で温泉を再開できたが、今回は見通しが立たない。自然にはかなわないと前回も思ったけど、今回はなおさら」と嘆いていた。
その2019年8月の記録的大雨では六角川流域の佐賀鉄工所大町工場(大町町)で大量の油が流出した。県産業労働部副部長の八谷幸浩さんは「(県災害対策本部のあった)午後4時時点では工場内に水が入ってきている状態ではないと聞いている。油の流出もない。2年前の佐賀豪雨と被害箇所が重なるので今後も鉄工所と情報交換をしていく」と話した。
また避難指示が出された佐賀市の循誘公民館に子供3人を連れて避難した団体職員、菅名早苗さん(44)は午前6時に警報が鳴って避難を決めたという。新型コロナウイルスの感染拡大後の避難は昨年に続き2回目。「前回は近くの小学校に避難しパーテーションなどの感染症対策がなされていたが今回は様子が違ったので心配」と語る。
住宅被害は鳥栖、嬉野の2市で計3棟が床上浸水。床下浸水は鹿島市、玄海町、嬉野市、上峰町の4市町で計24棟を確認。避難所は14日午後3時時点で全20市町に計197カ所開設され、避難者は941世帯1900人にのぼった。