新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、クラスター(感染者集団)の国内発生件数が1万件を突破した。以前は医療機関や高齢者施設、飲食店で目立ったが、近ごろは百貨店や学習塾、理美容室など多方面に広がっている。対策を講じても発生し、施設側は頭を悩ませている。
大阪・梅田(大阪市北区)では7月下旬以降、百貨店におけるクラスターの発生が相次いだ。阪神梅田本店は7月26日~8月8日、食品売り場を中心に従業員145人の感染を確認。全館で2日間休業した。
市保健所によると、8割超の124人が地下1階と1階を担当し、全フロアでまんべんなく感染者が生じたわけではないことなどから、客から感染した可能性があるとみられる。
7月27日以降は阪急うめだ本店でも従業員89人の感染が確認された。6割弱が地下1階と1階に集中し、一部の売り場が休業した。市保健所は感染経路を調べている。
クラスターはスポーツ大会の運営にも影を落とす。北海道苫小牧市で今月4~8日に開かれた「第16回全国高校選抜アイスホッケー大会」では生徒、指導者ら計134人の感染が確認された。全国26チーム、約1000人が参加しており、さらに広がる可能性がある。
大会は日本アイスホッケー連盟と市が主催した。地元・北海道の白樺学園高(芽室町)は部員33人中25人が感染。埼玉栄高(さいたま市)は発熱者が確認され、準決勝を棄権した。
国は緊急事態宣言下の自治体から移動する場合、出発前か到着後のPCR検査を求めている。だが主催者側は参加者に検査を義務付けておらず、苫小牧保健所は大会終了後の10日、全チームに検査を指示した。
千葉県船橋市の学習塾では16日までに生徒や職員計100人の感染が確認された。市は体調不良の講師が授業を続けたことで感染が広がった可能性があるとみる。この塾は教壇と生徒の席の間にビニールシートを設置するなどしていた。担当者は「サーキュレーター(送風機)の増設など対策を強化したい」と話した。
千葉県松戸市の市立保育所では、18日までに園児18人と職員7人が感染した。昼食やおやつの際にアクリル板を設置したテーブルを使うなどしていた。子どものマスク着用について、日本小児科学会は窒息や熱中症などの危険があり注意が必要としている。園児約150人のうちマスクを着用するのは数人だけ。市の担当者は「大人のようにマスクを着ければ防げたかもしれない」と話した。
千葉県市原市の美容室では6月、スタッフ5人が感染。客の感染は確認されず、駐車場での喫煙時に感染した可能性が高いという。店側は客にマスクを配って常時着けてもらうことに。経営者でつくる「全日本美容業生活衛生同業組合連合会」は、客の素肌に接する器具の消毒を徹底するなどの対策を求めている。
クラスターはオフィスでも発生する。内閣官房の5月の調査によると、30人以上が感染したある職場では感染が拡大し始めた時期、体調不良でも出勤を続ける人がいた。業務中は全員がマスクを着用していたものの換気が不十分で、共有機器の消毒もしていなかった。【土谷純一、井口慎太郎、木下翔太郎】