アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが復権したことを受け、日本で暮らすアフガン難民からも、母国に残る家族や友人らの身を案じる声が上がっている。名古屋市在住のロヤ・アジミさん(27)が18日、取材に応じ「これ以上犠牲者が出ないことを願っている」と胸の内を明かした。
ロヤさんはアフガン内戦で父を亡くし、自らも4歳の時に地雷の爆発で両足の指を失った。同市のNPO法人「セーブアフガンチルドレンの会」の支援で2005年に来日。治療を受けつつ小学校に通い、日本の文化や言葉を学んだ。歩けるようになりいったん帰国したが、14年に留学で再来日し、その後、難民認定を受けた。今は仕事の傍ら、自身の体験を本にまとめるため執筆を続けている。
「惨めな歴史が戻ってきた。つらく、悔しい。私の故郷が泣いている」。タリバン復権にロヤさんは表情をこわ張らせた。01年の政権崩壊までの記憶が鮮明によみがえる。1人で買い物をしたり、服装からわずかに素肌が見えたりした女性が、街なかで激しい暴力を受ける光景。無理やり結婚させられる人もおり、女性の教育や就職も認められていなかった。
ロヤさんは来日当初、小学校に通う暮らしを「まるで夢のよう」に感じた。日本では普通の生活が、母国ではなぜ、できないのか。この悔しい思いは、今も変わらない。タリバンは17日、女性の人権を尊重し通学や就業を認める方針を示したが、「女性の権利がまたゼロに戻ってしまうのではないか」との不安はぬぐえないままだ。
母国には、2歳年下の幼なじみがいる。毎日連絡を取り合ってきた親友だが、17日夜の電話で「タリバンに会話を聞かれたら、捕まるかもしれない。いつまで自由に話せるかも分からない」と告げられた。親友は大学を卒業後、現地でジャーナリストとして働いていた。今は恐怖におびえ、外出もできない日々を過ごしているという。日本にいる自分の発言が友人らをひどい目に巻き込む可能性もあるだけに、取材に対しても慎重に言葉を選ぶ。
「これから生活がどう変わるか分からないが、希望を無くさないでほしい」。母国のために今、自分に何ができるのかと悩み、友人や親族の身を案じるロヤさん。「アフガンで起きていることを、国際社会は忘れないでほしい」と、現地に暮らす人々への支援の継続を訴えた。【酒井志帆】