「隠れ陽性者」把握困難か 保健所業務の逼迫で「積極的疫学調査」規模縮小の動き デルタ株による感染急拡大誘発も

政府は東京、大阪など6都府県の新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長と茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県の対象追加を決めた。東京などでは感染者の急拡大で保健所業務が逼迫(ひっぱく)、濃厚接触者や感染経路を追い切れなくなっており、無症状の「隠れ陽性者」が感染を広げる悪循環に陥っている恐れもある。
東京都のモニタリング会議の資料によると、都内で陽性確認時に無症状の人は7月以降、11~12%にとどまっている。通常、無症状者は3割程度とされる。
感染拡大の指標の一つである都の発熱相談センターへの相談件数は7月後半以降平均3000件前後で高止まりしており、全体の感染状況を把握できていない状況がうかがえる。
保健所業務の逼迫を受け、都は10日付で、濃厚接触者や感染経路を詳しく調べる「積極的疫学調査」の規模を縮小する方針を都内の各保健所に通知した。重症化リスクの高い人が多い医療機関や高齢者施設での事例の調査を優先させ、保健所の負担を軽減する。
埼玉県も6日から積極的疫学調査の範囲を縮小した。
都の担当者は「優先順位を示しただけで、必要な検査は実施される」と述べ、調査の規模が縮小されても感染者数の見かけ上の減少にはつながらないとの見方を示した。
緊急事態宣言の期限延長と対象地域拡大を決めた17日、菅義偉首相は記者会見で「全国の新規感染者が先週末には2万人を超え、危機的な状況にある」との認識を示し、医療体制の構築、感染防止、ワクチン接種の「3本の柱」で対策を進めると強調した。宣言解除の前提として「医療提供体制の確保」を挙げた。
政府は、緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置の対象地域で大型商業施設への入場制限を求めるほか、住民に対し、混雑した場所への外出機会の半減を要請。飲食店には引き続き午後8時までの営業時間短縮を求め、酒類提供は原則停止とする。
ただ、デルタ株は感染力が高く、無症状の人がウイルスをまき散らす事態が続けば感染は収まらない。自分を含めて誰がいつ感染してもおかしくない状況になっている。