茨城の障害者施設で虐待か 「利用者に暴力」 県が立ち入り調査

茨城県東海村の指定障害者支援施設「第二幸の実園」で職員が利用者を虐待した疑いがあるとして、弁護団が19日、県に虐待通報したと発表した。県は通報を受け、17日付で施設に立ち入り調査した。
県障害福祉課によると2020年4月、施設関係者から東海村を通じ、施設職員が日常的に利用者に暴言や暴力をふるっているとの複数の証言が寄せられた。県と村は同年6月と12月の2回にわたり、合同で立ち入り調査などを実施。県も証言自体は確認したものの、虐待の事実は認定しないまま、21年1月に施設に是正を求めた。
弁護団は「県の対応が不適切」として、翌2月に虐待通報書を提出、県警ひたちなか署にも連絡したという。
弁護団によると、被害を受けたのは、重度の知的障害のある男性利用者で、本人からの申告は難しいとしている。この利用者と別に、複数の虐待被害があったとして、これらについても通報しているという。
弁護団長の常岡久寿雄弁護士は19日の会見で、「虐待は許されるものではない。複数の証言があることを重視して、指導をしてほしい」と主張。県障害福祉課は取材に対し、「引き続き、村と合同で虐待について調査する」としている。
施設側は毎日新聞の取材に「県からの通知と立ち入り調査に驚いている。研修などを通じて虐待防止に取り組んでおり、そのような事実はない」と述べた。【森永亨】