千葉の旅館やホテルにも大打撃 建物被害、相次ぐキャンセル 台風15号

台風15号の上陸から23日で2週間。千葉県南部の旅館やホテルが大きな打撃を受けている。屋根が飛ばされるなどの建物被害に加え、予約のキャンセルが相次ぎ、廃業を考える施設もある。
房総半島最南端の野島埼灯台近くにあり、今年で創業100年の節目を迎えた南房総市の老舗旅館「紋屋(もんや)」では23日、従業員たちががれきの片付けに追われていた。おかみの高尾葉子さん(62)は館内に飾っていた自らの書を手に「作品のいくつかがだめになってしまった」とため息をついた。
太平洋に面した全25室の客室の窓ガラスはほとんど割れ、屋根も飛ばされて、柱の骨組みがむき出しになった。台風が上陸した9日には20人ほどの宿泊客がおり、割れたガラスで足をけがする人もいた。2階建ての和風旅館は眺望に加え、妊婦や赤ちゃんのいる家族連れへのもてなしでも定評があった。4代目社長の高尾憲資さん(64)は「なんとか年内に再開できるようにしたいが……」と言葉を絞り出した。
館山湾の南岸に位置し、海の向こうに富士山を望める館山市の温泉旅館「海紅豆(かいこうず)」。創業者の山崎吉英さん(83)は9日未明、「ドカーン」という音にたたき起こされた。様子を見に行くと本館の屋根が吹き飛ばされ、客室は雨が吹き込み水浸しに。宿泊していた夫婦1組には1階ロビーに避難してもらった。「離れの新館を除いて本館は全滅。建て直すしかない」。自分に言い聞かせるように言葉をつないだ。
強風の被害を免れ、停電が解消して再開できた旅館やホテルにも予約客からのキャンセルが続出している。南房総市観光協会によると、市内約120カ所の旅館・ホテルで営業を再開したのは6割ほど。2割は再建の見通しが立たず、うち半数近くは廃業を検討しているという。同協会会長で民宿を経営する堀江洋一さん(52)は「漁業も被害を受けてイセエビなど一部の食材は提供できないが、ぜひ泊まりに来てほしい」と呼び掛けている。
気象庁によると、台風17号の影響で23日、千葉県内全域に強風注意報が出され、最大瞬間風速が20メートルを超える地域もあった。被災地では壊れた屋根に張ったブルーシートが強風であおられはがされてしまった家屋もみられた。【中島章隆】