病床確保へ「総力戦」 国と東京都が医療機関に協力要請

厚生労働省と東京都は23日、改正感染症法に基づき、都内の医療機関に対して新型コロナウイルス患者の受け入れや病床確保、宿泊療養施設への人材の派遣などを要請した。感染拡大に伴い逼迫(ひっぱく)する医療体制への対応で、国が要請したのは初めて。
要請は同日昼に田村憲久厚労相と小池百合子都知事が会談し、正式に決まった。会談後、報道陣の取材に応じた小池氏は「デルタ株という猛威に総力戦で臨む必要がある。都内のすべての病院、診療所、医療従事者に要請する」と述べた。田村氏は「厳しい状況を乗り切るためにも更なるお力添えをいただきたい」と求めた。
要請では「不急の入院・手術の延期」など、一般医療の制限をした上での協力を求めた。新型コロナ患者を受け入れている入院重点医療機関などには「最大限の入院患者の受け入れや更なる病床確保」を依頼。それ以外の病院には「医療機関や宿泊療養施設の運営、人材派遣」のうち少なくとも一つ、診療所には「人材派遣、コロナ患者の在宅医療、ワクチン接種」のうち少なくとも一つの協力を求めた。また大学医学部、看護学校など養成機関にも、人材派遣やワクチン接種への協力を要請した。
これまで大阪や奈良、静岡、茨城の4府県と札幌市が単独で病床確保を要請した例があるが、国が要請したのは初めて。厚労省幹部は「国が要請に名前を連ねたのは、『この局面は総力戦だ』というメッセージもある」と話す。
都のコロナ病床は将来の使用を見込む確保病床を合わせ6406床あり、利用可能な病床(5967床)に対する入院患者は4034人(使用率68%、23日現在)。都は「1床でも多くの病床の確保」を目指すものの、都内の医療機関は「ギリギリの努力」(都幹部)でベッドや人材をコロナ病床に充ててきたといい、上積みができるかどうかは見通せない。
同法では医療機関が国や知事の要請に正当な理由なく応じなければ、より強制力のある「勧告」に切り替えることができ、それでも従わない場合は病院名を公表できる。【神足俊輔、金秀蓮】