ネットカフェや路上で暮らすホームレスらへの新型コロナウイルスワクチンの接種を自治体が急いでいる。郵送で接種券を受け取れなかったり、免許証などの本人確認書類がなかったりする人たちにもくまなく接種できるように、支援団体と共に対応に乗り出している。(田中文香)
「住所がないので無理かもしれないが、ワクチンを受けたい」。8月4日、東京都豊島区で、支援団体による食料配布に並んでいた男性(65)がそうこぼした。男性は区内の公園で寝泊まりしており、スマートフォンは持っていない。ニュースを見る機会はなく、国がワクチンの接種を無料で進めていることは、支援団体からもらったチラシで初めて知った。
支援団体の一つで、区内の公園で医療相談に取り組む認定NPO法人「世界の医療団」(東京)は7月、相談や炊き出しに訪れた316人にアンケートをした。すでにワクチンを接種したり、予約をしたりした人が84人いた一方で、接種を希望する99人のうち、住所がないなどの理由で接種券を受け取れない人が47人いた。
区は、同NPOなどの支援団体と共に、接種の進め方などについて協議している。今後、ホームレスらに意向調査を実施し、接種券の引き換え証を用意。10~11月に支援団体が実施する炊き出しなどの際に、支援団体のスタッフにホームレスらを集団接種会場に連れてきてもらい、ワクチンを打つことを検討している。
同NPOの武石晶子さんは「豊島区は他の場所から一時的に滞在する方も多い。行政と協力して希望する全ての人への接種を実現したい」と話す。