米軍、普天間のPFOS処理水を放出 沖縄知事「激しい憤り」

在沖縄米海兵隊は26日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の貯水槽から、発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)」「PFOA(ペルフルオロオクタン酸)」を含む水を処理した上で、公共下水道への放出を始めたと発表した。県や宜野湾市は放出に反対しており、玉城(たまき)デニー知事は緊急の記者会見で「米側が一方的に放出したことに非常に激しい憤りを覚える」と即時中止を求めた。
米海兵隊から県への連絡は、放出30分前の26日午前9時5分にメールであった。米海兵隊は処理した結果、日本政府が定める水道水などでの暫定目標値を下回っていると説明したが、放出量は明らかにしていない。
県などに対するこれまでの米海兵隊の説明によると、普天間飛行場では以前、PFOSなどを含む泡消火剤を訓練で使用。その際に生じた汚染水を飛行場内にある六つの貯水槽で保管している。従来は専門業者に委託して焼却処分していたが、費用がかさむことなどから、米海兵隊は7月に下水道への放出を国や県に打診。県は従来通りの焼却処分を求めていた。
国は水道水や地下水などの暫定目標値をPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)以下に設定している。米海兵隊は今回放出した水について、汚染を取り除く処理で両物質の合計が1リットル当たり2・7ナノグラム以下になり、「暫定目標値に比べて約20倍きれいだ」としている。除去した有害物質は県外の施設で焼却処分するという。宜野湾市によると、下水は処理施設を経て、海に流れる。
普天間飛行場の周辺では2020年4月にPFOSなどを含む泡消火剤が基地外に漏れ出る事故が起きたほか、周辺の湧き水や地下水でも高濃度のPFOSなどが検出されている。市民の不安も大きく、松川正則市長も放出を受け、防衛省沖縄防衛局と外務省沖縄事務所に抗議し、放出を中止するよう求めた。【遠藤孝康、竹内望】
PFOSとPFOA
有機フッ素化合物の一種。水や油をはじくなどの特性があり、泡消火剤や調理器具などに使われてきた。自然界でほぼ分解されず、人体に蓄積する性質もあり、健康や生態系に悪影響を及ぼす恐れが指摘されている。PFOSは2018年に国内での製造・輸入が全面的に禁止され、PFOAも21年10月から禁止の対象になる。