感染拡大を抑えて、救える命を守らねばならない。仮設病床を開設することを含め、医療体制を強化するための手立てを急ぐべきである。
政府は、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言について、北海道、愛知、広島など8道県にも拡大することを決めた。宣言は計21都道府県、まん延防止等重点措置は計12県となる。
西村経済再生相は、「若い世代を含め、明日は我が身ということで感染防止策の徹底をお願いしたい」と訴えた。
変異したデルタ株は感染力が強く、若い世代も重症化している。医療体制が
逼迫
(ひっぱく)すれば、コロナだけでなく、急病や交通事故などの救急医療にも支障が生じる。自分や家族の命を守るため、一人一人が改めて注意を払いたい。
政府と東京都は、医療機関に対し、病床確保や医療従事者の派遣に協力するよう、改正感染症法に基づく初めての要請を行った。
都内では重症者病床がほぼ埋まり、自宅療養者は2万人を超えている。患者の急変に対応するには、多数を収容でき、施設全体を見渡せる仮設病床が有効だ。都は早急に整備し、政府は看護師確保などで後押ししてもらいたい。
政府は、宣言の発令や解除に際して感染状況を評価するための指標を見直す方針だ。
国民の4割がワクチンの2回接種を終え、「10~11月に希望者全員が接種を完了する」という政府目標も現実味を帯びてきた。
これを踏まえ、医療の逼迫具合や新規感染者数などの現在の5項目に、ワクチンの接種状況や重症者数などを加えるという。
医療体制を充実させた上での見直しならば理解できるが、現状はそこまで至っていない。安易な緩和で対策がおざなりにならないよう、慎重に判断してほしい。
罰則を設けて外出を制限するロックダウン(都市封鎖)の導入を求める声があるのは疑問だ。
政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が「個人が感染リスクを避ける新たな法的な仕組み」に言及したほか、全国知事会や国民民主党なども主張している。
移動の自由は、憲法で保障された基本的人権である。罰則を伴う強制措置は重大な問題であり、冷静な議論が不可欠だ。
社会・経済活動への影響も極めて大きい。諸外国を見ても、ロックダウンが収束の決定打となっていないのは明らかだ。足元の感染状況の改善、医療体制の整備に全力を注ぐことが先決である。