福井市和田中町の福井県済生会病院を拠点に、性暴力被害者を支援する「性暴力救済センター・ふくい」(通称ひなぎく)が、2018年7月に24時間365日体制の相談受け付けを始めて以降、相談件数が増えている。18年度の新規利用者数は163人で、前年度の3.5倍に。14年4月のオープンから支援を続ける産婦人科医の細川久美子センター長(57)に24時間体制の重要性や今後の課題を聞いた。【横見知佳】
ワンストップで
ひなぎくは警察や弁護士会などと連携した支援活動を一カ所で行う「ワンストップ支援センター」としてオープンした。病院に拠点を置くワンストップ支援センターは8府県にあり、北陸では福井が唯一だ。中でも24時間対応するのは福井や大阪など5府県しかない。性被害支援に特化した資格を持つ看護師ら女性4人が医療やカウンセリングを担当する。必要があれば、警察や弁護士を紹介する。
性被害は、親や友人ら身近な人から受けることが多い。近年はSNSで「わいせつな写真を送れ」と脅されるといった、接触のない性暴力も増えている。
鍵は24時間体制
開所当初は平日のみの午前8時半~午後5時の対応だったが、国から交付税が出たことで、18年7月、24時間の対応を始めた。夜間・休日は外部委託業者による電話相談を受け付け、急性期対応が必要な場合は県済生会病院か同県小浜市の杉田玄白記念公立小浜病院に連絡が入る仕組みで、その後もひなぎくが継続して支援する。
18年度の新規利用者は、4~6月は平均6・3人だったが夜間・休日も受け付けを始めた7月~今年3月は平均16人と急増した。うち平均9・8人は夜間・休日に利用したという。病院内にあり、いつでも利用できることが心理的なハードルを下げ、相談数が増えたとみられる。
細川センター長は「被害者は性暴力を受けた後、被害を理解するのに時間がかかる場合がある。気付いた時にいつでも助けを求められるようにしていかなければならない」と24時間体制の重要性を説明する。
「おせっかい」のような存在に
性被害者は、暴力をさらに振るわれる恐れがあるため、おびえて抵抗することはできない。「早く終わってほしい」という一心で逃げださずにじっと耐えるという。相談者の多くは感情がなくなったような表情でひなぎくを訪れる。泣いていたり思い詰めていたりはしていない。人ごとのように話し「大丈夫です」と言うことが多いという。細川センター長は「被害を受けたことを理解していないだけだ」と指摘する。そんな時は、被害に気づいたときにいつでも連絡できるよう、ひなぎくの連絡先を渡す。
24時間体制を続けるにあたり、スタッフ不足は深刻な課題だ。センターの4人は病院の仕事と掛け持ちしており負担は大きい。それでも24時間体制は続けるつもりだ。「時間がかかっても助けてあげられる存在でありたいので、『おせっかい』のような支援を続けていきたい」と細川センター長は話している。