拉致問題「進展した印象ない」 被害者家族に驚きと落胆 菅首相退陣

菅義偉首相は北朝鮮による拉致問題の解決を「最重要課題」と位置づけていたが、成果を上げられないまま退任する見通しになった。拉致被害者の家族からは落胆や驚きの声が漏れた。
拉致被害者家族会の代表で、田口八重子さん(行方不明時22歳)の兄の飯塚繁雄さん(83)は「(解決に向けて)進展した印象はない。首相はやるとは言っていたが、行動は伴わなかった。拉致問題は蚊帳の外だ」と菅政権の対応を振り返った。その上で「どうにもならない状態が続いている。待っているほうが疲れる」と話した。
横田めぐみさん(同13歳)の母早紀江さん(85)は「とにかく残念。びっくりしている」と感想を述べた。「新型コロナウイルスの問題は誰が首相であっても対応するのは大変なこと。菅さんに首相を続けてほしいと思っていたが、考えがあっての判断なのだと思う」とおもんぱかった。【斎藤文太郎】
引き続き全員救出に情熱を
1978年に鹿児島県日置市の吹上浜から増元るみ子さん(当時24歳)と共に北朝鮮に拉致された市川修一さん(同23歳)の兄健一さん(76)=同県鹿屋市=は「首相就任直後にお会いし、被害者家族の訴えを真剣に聞いていただいた。解決への熱意を感じたが、コロナ禍で北朝鮮との交渉も思うようにできなかったのではないか」と菅首相を気遣った。
一方で、この1年あまりは署名運動や講演活動も中止を余儀なくされており、健一さんは「拉致問題の風化が心配。次のリーダーも国の最重要課題として引き続き被害者全員救出のために情熱を傾けてほしい」と要望した。【新開良一】