上半期、ほかのメディアでは取り上げない裏トレンドを総決算。今回はコロナ禍便乗詐欺の実態に迫る。
◆混乱する世間を巧みに利用。コロナ禍便乗詐欺が増加
世間の流行に巧みに紛れ、忍び寄る悪質詐欺。上半期はまさに「コロナ禍便乗詐欺」が横行した。詐欺・悪徳商法ジャーナリストの多田文明氏は語る。
「上半期に被害者が続出したのが『ワクチン詐欺』です。今年1月に、菅総理がワクチン接種を発表するとともに、各地で行政機関を名乗った不審電話が多発。6月からはショートメッセージを使い、偽予約サイトにつなげて個人情報を抜き取ろうとするケースも報告されました」
◆300万円騙し取られて被害に気づく…
30~40代の男女を中心に被害が拡大したのは、コロナ禍でユーザー数が増加したマッチングアプリを使った「国際ロマンス詐欺」だ。
「マッチングアプリで出会った外国籍の異性に偽の投資サイトへ導かれ金銭を要求されるというもの。男性は200万~300万円騙し取られて被害に気づく人が多い。海外発の詐欺事件は警察が被害届を受け取らないことが多く、ほぼ泣き寝入り状態に。最近は日本人を名乗る人物も増えています。海外ではAI技術で有名人の声や顔をマネて騙す手口もあります」
◆宅配業者を装ったショートメッセージに…
通販の利用増加に便乗したフィッシング詐欺も進化中だ。
「宅配業者を装った荷物のショートメッセージは文章も巧妙になり、本物と見間違えるものが増加。オリンピックの影響でテレビ局をかたった偽ライブサイトが現れました。下半期は、五輪チケット返金詐欺に要注意です」
◆〈コロナ禍便乗詐欺3大手口〉
●ワクチン詐欺
「優先的に接種できる」など甘言で釣るものも多発。下半期は3回目接種などを名目としたものも増えそうだ
●国際ロマンス詐欺
以前からあったロマンス詐欺だが暗号資産などを利用した手口が増加。一度は儲けさせるなど、巧妙化している
●フィッシング詐欺
オリンピック中にはライブ配信を装ったサイトが出現。クレジットの情報を入力してしまい被害に遭った例も
【詐欺・悪質商法ジャーナリスト 多田文明氏】
被害現場への潜入数は100か所以上。著書に『サギ師が使う交渉に絶対負けない悪魔のロジック術』(イースト・プレス)など
<取材・文/週刊SPA!編集部>
―[(裏)トレンド速報’21上半期]―