今年3 月に開設された「NumberData(ナンバーデータ)」は、あおり運転をした車を記録したドラレコ動画を被害者が投稿するサイト。“加害車”のナンバーにボカシなどの処理をしないまま掲載するのが特徴で、すでに約1万件ものナンバー情報が集まっている。「ナンバーデータ」には、危険なあおり運転だけでなく、スピード違反や信号無視、当て逃げ、迷惑駐車・無断駐車などの悪質行為をしている車の情報も投稿される。
「ナンバーデータ」ではナンバー以外の特徴からも“近づきたくない車”の特徴を掴むことができる。
「車両タイプ別の悪質車両ランキング」では、1位軽自動車、2位ミニバン・ワンボックス、3位セダン、4位ハッチバック、5位トラック・トレーラー・ダンプカーとなっている。
あおり運転をするのは高級外車やスポーツカーという印象を抱きがちだが、データの上では軽自動車が一番多く、ミニバン・ワンボックスといったいわゆる“ファミリーカー”が続く。“軽だから”“ファミリーカーだから”大丈夫──とは言い切れないのだ。車種別では、意外にも“優しい運転”を心掛けそうに思えるハイブリッドカーが1位。
なお、チューリッヒ保険会社が2018年に行なった実態調査では、あおってきた車の「色」については、ブラックが最も多かった。
こうしたデータは、どの程度、現実を反映しているのか。元千葉県警警察官で交通事故調査解析事務所代表の熊谷宗徳氏が言う。
「私の経験からいえば、ナンバーが『8888』のような車もそうですが、改造車や、ロック歌手のステッカーなどを貼っているような“自己顕示欲が強い車”は警戒すべきです。
私が現役の頃から軽によるあおり運転は多く、車の性能(最高速度や排気量)とは関係なかった。背の高いワンボックスカーによるものも意外に多く、着座位置が高く、上から見下ろすことで気が大きくなるのではないかといわれていました。
あおり運転は、向こう気の強い攻撃的なタイプの人に多い行動と考えられます。その兆候が見られる車は避けるという対応がまず必要です。そして危険な車に遭った場合も、その場で対処せず、ドラレコ動画などの証拠をもって摘発する流れに今後なっていくのではないでしょうか」
車だけでなく、走行する場所も気を付けるポイントだという。
「あおり運転が多くなる道路は3つの条件があります。1にスピードを出せる道路。2に車線数が多い道路。3に走行車両が多い道路です。車や車線が多いと急な車線変更などでカッとなりやすく、あおり運転を誘引する可能性が高くなります。そのすべてにあてはまる高速道路は、とくに警戒すべきです」(熊谷氏)
前出の「ナンバーデータ」運営者も、投稿情報からこんな傾向があることに気づいたという。
「『後ろから迫られた』、『無理に追い抜かれた』といった投稿は、朝の通勤時間に多いことがわかります。やはり余裕がないのでしょう。場所ではやはり高速道路が多い。あおり運転が多い地域は、高速道路の総距離が長いエリアです」
※週刊ポスト2019年9月6日号