迷走するIR計画 関連株は人気だが市民はカジノに拒絶反応

2018年に、当時の安倍政権がアメリカの意向を受け、成長戦略の柱として導入を決定、菅政権がその政策を引き継いできたIR計画が迷走気味である。

IRとは統合型リゾートのこと。ホテル、イベント会場、商業施設などを建設する。中核はカジノだ。これがないと、運営会社は採算を取るのは難しい。開発投資は1兆円規模とされている。

さらに、マカオ、シンガポールのように、外国人観光客(インバウンド)を呼び込める。コロナショックの前までは地域活性化の切り札として期待されていたのは確かだろう。

当初、IR誘致に動いていた自治体は8グループ(都市・地域)だったが、北海道、千葉市、横浜市が離脱、東京都と名古屋市は「態度を保留」、現在は大阪府・市、長崎県、和歌山県の3陣営に絞られている。

ひところの熱気がなぜ、冷めてしまったのか。それはカジノに対する市民の拒絶反応だ。先の横浜市長選ではIR反対派が勝利した。IR誘致には民意という参入障壁が存在する。

19年にはIRを巡る汚職事件(国会議員が逮捕、起訴される)もあった。IRには逆風が相次いだ。ただ、3陣営の計画は着々と進んでいる。

大阪府はオリックスと米MGMリゾーツ・インターナショナル連合、長崎県はオーストリアのカジノ・オーストリア・インターナショナル、和歌山県はカナダの投資会社のクレアベストグループと事業協定を結ぶ方向にある。

先行しているのは大阪府・市だ。25年の大阪万博、そしてIR誘致を関西圏飛躍の起爆剤としたい考えである。舞台はドリームアイランド「夢洲」になる。

■関連株は人気だが…

すでに、株式市場ではカジノに不可欠の貨幣処理機、硬貨計算機の日本金銭機械、オーイズミ、会場予定地周辺の土地持ち会社のヨコレイ、桜島埠頭、杉村倉庫などが人気を集めている。

とはいえ、IR誘致にはギャンブル依存症、治安の悪化などの問題を抱え、反対意見が多い。大阪府は府政と市政を推進派の日本維新の会が主導しているが、世論調査では賛成が37%(反対は52%)にとどまっている。

横浜市、千葉市のケースがそうだが、IRには政治リスクが存在する。結果的に、外資は参入をためらうのではないか。

(杉村富生/経済評論家)