[追う]優しい生徒「ツッシー」、大学中退・職を転々…孤立深め「大量に人を殺したい」

東京都内を走行中の小田急線車内で8月、乗客10人が包丁で切られるなどして重軽傷を負った事件で、川崎市の元派遣社員、対馬悠介容疑者(36)(殺人未遂容疑などで再逮捕)が、30歳の頃から「大量殺人」を考えるようになったと供述していることが捜査関係者への取材でわかった。事件を食い止めるすべはなかったのか。(相本啓太、大井雅之)
「サッカー好きで、『ツッシー』と呼ばれ、誰とでも気軽に話ができる優しい生徒だった」。中学時代の同級生は振り返る。
知人らによると、対馬容疑者は千葉県松戸市で生まれ、世田谷区で育った。高校は都立の進学校で、テニス部に所属し、中央大理工学部に現役合格。テニスサークルに入り、友人とイタリア旅行を楽しむなど、学生生活を

謳歌
(おうか)していた。
2009年春、単位が取れずに23歳で大学を中退。その後、荷物搬入の作業員やコンビニ店員、温泉宿の住み込み従業員など、職を転々とした。友人には「フットサルをやっている」と語り、まだ生活を楽しんでいる様子があった。20歳代半ばで勤務した都内の倉庫会社によると、勤務態度は「優良」だった。
ところが、捜査関係者によると、30歳の頃から「大量に人を殺したい」と考えるようになったという。
対馬容疑者はこの頃、母親の再婚を機に世田谷区の実家を離れ、川崎市のアパートで一人暮らしを始めていた。近隣住民によると、顔を合わせても話しかけてくることはなかった。友人との交流もなくなり、警視庁は、次第に孤立を深めていったとみている。
以後、

梱包
(こんぽう)会社や物流倉庫などで働いたが、数か月しか続かないことが増えた。履歴書の退職理由には「嫌になった」などと投げやりな言葉が並んだ。今年2月には派遣社員として勤務していた都内のパン工場を退職し、翌月から生活保護を受給。事件当日の8月6日は新宿区の食料品店でつまみを万引きし、警察に通報された。その後に事件を起こしており、捜査関係者は「万引きの発覚が引き金となり、暴力的な衝動を抑えられなくなったのではないか」とみている。