北アルプスで落石や砂煙、登山者「地震は初めて」…突き上げるような衝撃

北アルプス・槍ヶ岳(3180メートル)の山頂に続く、長野県大町市の北鎌尾根で19日夕に落石があり、登山者7人が遭難した。一夜明けた20日、3人は自力で下山したが、4人は長野県警ヘリに救助され、うち1人が重傷。19日午後5時20分頃に起きた岐阜県飛騨地方を震源とする地震の影響とみられ、北アでは他でも落石や砂煙が確認された。気象庁は注意を呼びかけている。
長野県警大町署の発表によると、重傷を負ったのは東京都豊島区の会社員男性(61)で、落ちた石が左膝に当たって骨折し、県警ヘリで救助された。同じく救助された愛知県一宮市の男女3人と、自力で下山した3人にけがはなかった。
北アルプス・涸沢(松本市)でも、異変が見られた。岐阜県安八町から来た会社員の男性(51)によると、「ゴォー」という地鳴りのような音がし、岩が煙を上げながら斜面を転がっていた。
この男性は友人とテントを張り、宿泊する予定だった。地震が起きたため、山小屋の近くへ移動し、寝袋で夜を明かした。「上高地は何度も来ているが、地震に遭うのは初めて。夜も怖くて、寝られなかった」と振り返った。
栃木県大田原市から訪れた会社員の男性(26)は、奥穂高岳から涸沢を目指し、岩場を進んでいた時、地震に遭った。斜面を見上げると、岩とともに土砂が流れていたという。
涸沢カールにテントを張り泊まったが、その後も地震の揺れを感じ続けた。20日に予定していた北穂高岳への登山は断念し、そのまま下山した。「登山中の地震は初めて体験した。危険を冒してまで、登りたくなかった」と話した。
涸沢の山小屋「涸沢ヒュッテ」(約2300メートル)の山口浩一さん(43)によると、19日夕に建物全体を突き上げるような衝撃を受け、10秒ほど揺れが続いた。「落石の危険が高まっている」と、登山者に注意喚起したという。北アルプス各地に山小屋を構える「槍ヶ岳山荘グループ」の穂刈大輔社長(35)は「紅葉シーズンで人出が多い時期。早く地震が収まってほしい」と嘆いた。
気象庁によると、飛騨地方を震源とする震度1以上の地震はその後、20日午後4時までに13回発生している。同庁は「山岳地帯では、引き続き土砂崩れや落石に注意が必要だ」としている。