難民認定申請の棄却を告げた翌日にスリランカ人男性2人を強制送還した入管当局の対応を「違憲」と断じた22日の東京高裁判決は「裁判を受ける機会を奪うことは許されない」と国を厳しく批判した。原告の弁護団は「画期的な判決」と高く評価し、入管の対応改善を求めた。
「今回のような強制送還の例はよく聞く。こうした手法はもう取ることができなくなるのではないか」。判決後に記者会見した弁護団の高橋済弁護士は判決が持つ意義を強調した。
原告の50歳と60歳の男性は2000年前後に短期滞在の在留資格で入国。ともに不法残留で入管施設に収容された。迫害の恐れなどを理由に難民認定を求めたが、いずれも退けられ、国がチャーターした飛行機で強制送還された。
こうした集団送還は近年は、年に20~50人規模で行われている。送還態勢の準備や手順の作成、相手国との調整も必要で、計画の変更はできるだけ避けたいのが入管当局の本音だ。
名古屋高裁は今年1月の判決で、同様にチャーター機で送還された南アジア出身の男性への入管の対応を違法と認め、国に44万円の賠償を命じた。この男性も、難民不認定処分に対する不服申し立ての棄却を知らされた翌日に強制送還されたが、名古屋高裁は違憲とまでは踏み込まなかった。弁護団の駒井知会弁護士は「今回は裁判所がはっきりと違憲と言った。裁判を受ける権利を保障しない恐ろしいやり方に鉄ついが下った」と評価した。
一方、入管行政にとって在留資格を失っても日本に滞在を希望する「送還忌避者」は大きな課題だ。現在は難民認定の申請中は送還が停止されるルールがあり、難民不認定の処分を裁判で争っている外国人は送還対象から外されている。政府は、こうした仕組みを逆手に取った送還忌避が後を絶たないとして入管法改正による送還強化を目指す。
ある出入国在留管理庁の幹部は「強制送還に実効力を持たせるには速さが大切だが、やり方が乱暴だった。裁判を受ける権利の侵害と言われるなら真剣に受け止める」と話した。別の幹部は「入管法は、退去強制とされた外国人を速やかに送還しなければならないと定めている。送還を拒む外国人がいる中、制度のゆがみが表れた」と漏らした。【遠山和宏、山本将克】