顔認識システムで不審者検知は「法的に許されない」 JR東の矛盾点、弁護士が指摘

JR東日本は、駅構内などで、刑務所からの出所者などを「顔認識カメラ」によって検知するシステムを今年7月から実施しているという。読売新聞が9月21日に報じた。 この報道を受けて、JR東は同日、出所者・仮出所者の検知について、「当面取りやめる」としている。 だが、今後は再度の運用が始まることも考えられる。監視カメラの問題にくわしい弁護士は公共空間に顔認識システムを導入するにあたり、「JR東に配慮が足りなかったのでは」と指摘する。 ●検察から提供された出所情報にもとづき、個人情報を登録する 読売新聞によると、JR東が顔認識カメラによって検知する対象は次の3つ。 (1)過去にJR東の駅構内などで、JR東や乗客が被害者となるなどした重大犯罪(痴漢や窃盗などは対象外)を犯し、服役した人(出所者や仮出所者) (2)指名手配中の容疑者 (3)うろつくなどの不審な行動をとった人 JR東は、「被害者等通知制度」にもとづき、検察庁から出所・仮出所の情報提供をうけているという。 (1)については、氏名や罪名、逮捕時に報道されるなどした顔写真をデータベースに登録し、出所者を自動的に検知するという。 対象者を検知した場合、目視で顔を確認のうえ、警察の通報や、手荷物検査をおこなうという。JR東は「乗客の安全を第一に考えた必要な措置」であると読売新聞の取材に答えていた。 なお、報道があったことで、検知対象のうち、(1)については、当面やらないとしている。 過去に罪を犯したとはいえ、すでに刑期を終えて、罪を償った者を監視するような仕組みは許されるのだろうか。 仕組みの運用における問題点や、今後のルール整備の道筋はどのように考えたらよいのか。防犯カメラとプライバシー権にくわしい小林正啓弁護士に聞いた。 ●JR東の狙いは「全出所者の顔情報登録」? 出所者や仮出所者を対象とした検知システムには、どのような問題が考えられますか? 報道からの情報をもとにお答えします。 JR東が出所者や仮出所者「全員」の顔情報を登録して検知するのであれば、罪を償った人や償おうとしている人への社会的な差別につながり、大問題です。 しかし、JR東は「乗客らが狙われたテロ事件」などの罪を犯した者を想定したとしています。 そのような人で、かつ、将来も同様の犯罪を繰り返す危険性が高い人物に限定した登録であれば、鉄道会社が乗客に対して負う安全配慮義務の一環ともいえますから、社会的な同意を得られた可能性や、法的に許容される余地もあったと考えます。
JR東日本は、駅構内などで、刑務所からの出所者などを「顔認識カメラ」によって検知するシステムを今年7月から実施しているという。読売新聞が9月21日に報じた。
この報道を受けて、JR東は同日、出所者・仮出所者の検知について、「当面取りやめる」としている。
だが、今後は再度の運用が始まることも考えられる。監視カメラの問題にくわしい弁護士は公共空間に顔認識システムを導入するにあたり、「JR東に配慮が足りなかったのでは」と指摘する。
読売新聞によると、JR東が顔認識カメラによって検知する対象は次の3つ。
(1)過去にJR東の駅構内などで、JR東や乗客が被害者となるなどした重大犯罪(痴漢や窃盗などは対象外)を犯し、服役した人(出所者や仮出所者) (2)指名手配中の容疑者 (3)うろつくなどの不審な行動をとった人
JR東は、「被害者等通知制度」にもとづき、検察庁から出所・仮出所の情報提供をうけているという。
(1)については、氏名や罪名、逮捕時に報道されるなどした顔写真をデータベースに登録し、出所者を自動的に検知するという。
対象者を検知した場合、目視で顔を確認のうえ、警察の通報や、手荷物検査をおこなうという。JR東は「乗客の安全を第一に考えた必要な措置」であると読売新聞の取材に答えていた。
なお、報道があったことで、検知対象のうち、(1)については、当面やらないとしている。
過去に罪を犯したとはいえ、すでに刑期を終えて、罪を償った者を監視するような仕組みは許されるのだろうか。
仕組みの運用における問題点や、今後のルール整備の道筋はどのように考えたらよいのか。防犯カメラとプライバシー権にくわしい小林正啓弁護士に聞いた。
出所者や仮出所者を対象とした検知システムには、どのような問題が考えられますか?
報道からの情報をもとにお答えします。
JR東が出所者や仮出所者「全員」の顔情報を登録して検知するのであれば、罪を償った人や償おうとしている人への社会的な差別につながり、大問題です。
しかし、JR東は「乗客らが狙われたテロ事件」などの罪を犯した者を想定したとしています。
そのような人で、かつ、将来も同様の犯罪を繰り返す危険性が高い人物に限定した登録であれば、鉄道会社が乗客に対して負う安全配慮義務の一環ともいえますから、社会的な同意を得られた可能性や、法的に許容される余地もあったと考えます。