道路横断中の事故をなくそうと、兵庫県警が信号無視をしたり横断歩道のない場所を斜めに横切ったりする歩行者に注意を促す「歩行者指導警告書」の交付人数が、運用を始めた6月以降、365人(今月20日現在)に上ることがわかった。道路横断中の歩行者が亡くなる交通事故は昨年の2倍以上に増えており、県警は「歩行者にも、事故に巻き込まれないよう安全意識を高めてもらいたい」としている。(鈴木彪将)
「急いでいても、ちゃんと横断歩道を渡ってください」。今月22日夕、神戸市中央区の阪急春日野道駅北側の市道(山手幹線)で、葺合署員8人が歩行者に声をかけていた。
駅のすぐ南側には商店街があり、多くの買い物客が道路を横断する。電車に遅れないようにするためか、急いで信号無視をしたり、横断歩道のない場所で中央分離帯を越えてまで渡ったりする歩行者も目立つという。この日は、道路標識で横断が禁止されている場所を渡った女性に警告書を交付した。同署は「『早く渡りたい』という、ほんの少しの焦りが重大な結果を招く恐れがある」と注意を呼びかける。
道路交通法では、歩行者の無理な横断などを禁じており、違反者には2万円以下の罰金または科料の罰則がある。県警が6月から導入した警告書は、交付されただけでは罰則はないが、警察官が危険な横断行為を確認すれば、日時や場所、歩行者の名前を記入し、「あなたの行為は道路交通法違反に該当し刑事罰等の対象となります」と書かれた赤色部分の“レッドカード”を歩行者に手渡す。
県警は交付から1年間、警告対象者の情報を保管。危険行為を繰り返す悪質な歩行者には、罰則が適用される可能性もある。
県警によると、今月20日現在、365人に警告書を交付。内訳は「信号無視」の270人が最多で、「横断禁止場所の横断」68人、横断歩道が近くにあるのに利用しない「横断歩道外横断」11人などだった。危険な横断の理由については、「車が来ていなかったから」「急いでいたので」などと話す歩行者が多いという。
県警が取り組みに力を入れる背景には、危険な横断をして事故に巻き込まれる歩行者の増加がある。今年の8月末までの交通事故死亡者は68人(前年同期58人)で、道路横断中の歩行者は22人(同10人)。うち14人(同6人)が横断歩道以外で事故に遭っていた。
県警は「危険な横断は重大事故を招くリスクが非常に高い。警告書を積極的に交付することで、歩行者の危機感を高めたい」としている。