「国に期待できなくなった」 コロナ禍にあえぐ京都の観光関係者

「国から放置されている期間が長くて、国に期待できなくなっている」。新型コロナウイルス禍にあえぐ京都の観光関係者がうつむく。菅内閣の後継となる首相を事実上、選ぶ戦いとなった29日投開票の自民党総裁選。次期政権への期待は、まだ湧かない。
「京町家ゲストハウスまくや」(京都市上京区)のオーナー、岡野光郎さん(35)。大学卒業後、京都・西陣で祖父母が暮らしていた築約90年の京町家を改装し、5室を備えたゲストハウスとして2011年1月にオープンした。
訪日外国人(インバウンド)など多くの観光客を受け入れてきたが、コロナ禍で状況は一変。一時は密にならないよう1泊2組限定にしたが、20年度の予約は19年度に比べて95%の減となり、21年度は予約が全く埋まらない日々が続く。「国は僕たちのような小規模宿泊施設の方を見ておらず、放置している。観光は翻弄(ほんろう)されてきた」と嘆く。
他に収入源はなく、今は融資を切り崩す毎日が続く。感染状況が改善して観光客が戻ることも想定し、受け入れ態勢を維持しておく必要があるため、他の場所へ働きに行くのが難しいからだ。「多くの人は新型コロナでどのぐらいの影響が僕たちに出ているのか、分かっていないのでは」
20年7月には政府の旅行需要喚起策「GoToトラベル」が始まったが、感染拡大でその年の年末には停止に追い込まれた。「やり方が分かってきて、年末に向けてプランを作るなどしていたが……」。入り始めていた予約もキャンセルになり「仕方がないとは思うが、政策が突然変わるので、何を準備すればいいのか分からない」と困惑を隠さない。
4回目となる緊急事態宣言は、21年9月30日の期限で終了する。宣言発令には「感染者も増えていたので仕方がない」と理解するが「営業に影響は出ているので、何らかの支援をしてほしい。多くの人にとって観光は余暇かもしれないが、僕らにとっては仕事。なくなると生活できなくなる」と強調する。
次期政権にはコロナ禍を耐え抜くため、家賃の給付や飲食店に対する協力金のような補助を期待したいが「放置された期間が長く、何かしてくれるのかという期待ができなくなっている」のが実情だ。「国には一度、こちらを顧みてほしい」。岡野さんは声を強めた。【福富智】