「包み隠さず話して」遺族がコメント 旧大口病院連続死事件・初公判

横浜市の旧大口病院で2016年9月、入院患者3人の点滴に消毒液を混入して中毒死させたなどとして、殺人などの罪に問われた元看護師の久保木愛弓(あゆみ)被告(34)は1日、横浜地裁(家令和典裁判長)の裁判員裁判の初公判で「すべて間違いありません」と起訴内容を認めた。弁護側は被告が当時は統合失調症で、心神耗弱状態にあったと主張。検察側は「正常な心理で行動した」と指摘した。
午前11時過ぎ、横浜地裁101号法廷。グレーのジャケット姿の久保木被告は、裁判長から氏名を問われると、小さいがはっきりした声で「久保木愛弓です」と名乗った。細い縁の眼鏡をかけ、長い黒髪を後ろでまとめていた。緊張しているのか表情はやや硬かったが、証言台の前で、静かに裁判長の問いに答えた。
起訴内容を認めた後は、検察側の冒頭陳述を足の上で手を重ねてじっと聞き、弁護士が示した資料やモニターを見つめていた。証拠調べで、亡くなった興津さんの容体が急変した場面を説明する調書が読み上げられると、手元のハンカチを握りしめながら耳を傾けた。表情は閉廷まで変わらなかった。
法廷には遺族も足を運んだ。閉廷後、西川さんと八巻さんの遺族が代理人弁護士を通じてコメントを出した。西川さんの長女は「精神障害によって、人を殺した罪が軽くなるという主張は納得できない。包み隠すことなく、すべてを正直に話してほしい」。八巻さんの長男信行さん(61)は「事実を認めたことは一歩前進だ。なぜ父がこんな目に遭わなければならなかったのか、被告の口から語られることを期待する」とした。
興津さんの姉は初公判を前に寄せたコメントで「この裁判を見るまでは生きなければとの思いで過ごしてきた。犯人がどうなっても妹は帰ってこないが、なぜこんなことが起きたのか、きちんと見届けたい」とつづっていた。【池田直】