10日後、県調査開始 住民からは疑問の声
小櫃(おびつ)川上流の水道水源地にある千葉県君津市の産業廃棄物処分場で、雨水に混じって有害物質が流れ出ないよう汚染水を処理する施設が台風15号の影響による停電で8日間稼働していなかったことが分かった。同施設では7年前、高濃度の塩化物イオンが漏れ出す事故があり、現在も廃棄物の搬入を停止している。県は19日午後、ようやく同施設に職員を派遣し、立ち入り調査を始めた。流域の住民からは県の対応に疑問の声が上がっている。【上遠野健一】
この施設は、新井総合施設(本部・東京都中央区)が運営する管理型最終処分場の一部。産業廃棄物に由来する重金属類のほか、放射性物質やダイオキシンを含む焼却灰などを搬入している。雨量が増えると、周辺に有害物質が漏れ出す恐れがあるため、汚染水を浄化する浸出水処理施設を設置している。
県廃棄物指導課によると、この施設は9日の停電で稼働を停止。電気が復旧した17日に再稼働した。同社からは9日以降2回、状況などの報告があった。同課は汚染水を一時ためる調整槽から汚染水が漏れ出さなければ問題ないと判断し、現地調査をしなかった。理由について「災害対応などで職員の人手不足のため現地視察をしていない」と説明した。だが、関係者によると、台風で処分場を覆う防水シートが飛ばされ、土堰堤(どえんてい)の一部が崩落していたという。
この施設では2012年、高濃度の塩化物イオンが漏れ出し、県は2度にわたって搬入停止を勧告し、改善を求めた。しかし廃棄物を埋めている処分場にたまった汚染水の水位が下がらず、7年間搬入を停止している。
小櫃川は木更津、君津、袖ケ浦、富津4市と千葉、市原両市の一部の約97万人に水道水を供給している。汚染水漏れを危惧する流域住民らは現在、同施設の増設を許可した県を相手取り、許可取り消しを求める行政訴訟を起こしている。
住民の男性は「県は当初、業者からの報告だけで済ませており、危機管理意識が薄すぎる」と批判している。