自民党の二階幹事長率いる二階派(47人)は、30日に顔ぶれが固まった党新執行部で「党四役」ポストを逃した。二階氏は幹事長を務めた5年間、党総裁選や人事のたびに党内の影響力を高めてきた。今回の総裁選では派としての支持候補の絞り込みもできず、存在感を示せなかった。
「大きな行事が終わった。衆院選で全員当選できるよう頑張ろう」
二階氏は30日、東京都内で開かれた二階派の会合で、所属議員をこう鼓舞した。同派会長代行の河村建夫・元官房長官も「今回は皆さん色々な考えがあったと思う。岸田総裁はノーサイドと言われた。一致結束していこう」と呼びかけた。
二階氏は2016年8月に幹事長就任後、政局の節目で主導権を握ってきた。17年2月には当時の安倍首相の党総裁連続3選の支持をいち早く打ち出し、流れを作った。総裁の連続3選を可能にする党則改正も、二階氏が主導したものだ。昨年の安倍氏退陣表明後も、官房長官だった菅氏支持を打ち出し、菅政権誕生を引っ張った。
だが、今回は、二階氏は守勢に回った観もある。
8月26日にいち早く出馬表明した岸田氏は、党役員の任期を「1期1年、連続3期まで」とする改革案を打ち出し、菅首相が二階氏の交代を決断する引き金となった。二階派内では、岸田氏に対し「二階氏への露骨な攻撃だ」(幹部)と反発が広がった。
菅氏の退陣表明後、二階氏は当初、石破茂・元幹事長と面会を重ねるなど、岸田氏の対抗馬として石破氏を支持する選択肢もちらつかせていた。だが、肝心の石破氏が出馬せず、二階派として推す候補が不在のまま、総裁選を迎えた。
二階派は、4人の立候補者のうち、岸田氏以外の河野太郎行政・規制改革相、高市早苗・前総務相、野田聖子幹事長代行の3陣営に推薦人を出し、自主投票を決めた。
決選投票では派として結束する方針だったがまとまりきれず、一部の議員は最後に岸田氏に回ったものの、すでに細田派や麻生派、竹下派のベテランが岸田氏支持を打ち出し、岸田総裁誕生の流れはできていた。
10月4日には新内閣の発足も控えるが、二階派からは「この5年間のような人事での優遇はもう期待できない」(中堅)と悲観的な声も漏れている。