第100代首相に選出された岸田文雄氏は、40年連続で東大合格者数首位という全国屈指の進学校、開成高校出身者で初の首相となった。OBにとっては悲願達成といえるが、新政権を支える顔ぶれにも「開成人脈」が存在感を示している。
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東京の名門私立「男子御三家」のうち、麻布出身者は橋本龍太郎氏と福田康夫氏、武蔵出身者は宮沢喜一氏が首相となったが、開成出身者はこれまでいなかった。
開成高OBで弁護士の久保利英明氏は「開成には頭がいいという印象もあるかもしれないが、自由な校風が特徴だ。OBに二世議員も少ないが、その中で開成を選んだ岸田氏が首相に就任したことは喜ばしい」と話す。
岸田氏は千代田区立麹町中学から開成高に進学。硬式野球部では線が細かったが、二塁手のレギュラーになった。岸田氏の後輩は2005年夏の東東京大会でベスト16に進出し話題を呼んだ。
岸田氏の高校時代のニックネームは「ボクらのパパ」だった。17年に設立された開成高OBの政治家やキャリア官僚による同窓会「永霞会(えいかかい)」の初代会長にも就任した。「開成魂を再確認し、日本の未来について研鑽(けんさん)を磨く場」という趣旨の永霞会だが、OBから初の首相誕生という悲願に向け、岸田氏を盛り上げる舞台装置との見方もついて回った。
岸田政権では、新設された経済安全保障担当相に抜擢(ばってき)された当選3回の小林鷹之衆院議員(46)、政務担当の首相秘書官に起用された嶋田隆元経産事務次官(61)が開成OBだ。
ジャーナリストの歳川隆雄氏は「嶋田氏の起用にはOBの後押しもあったという情報もあり、開成人脈の存在は否定できない。もっとも、岸田氏の政策グループは開成に限らず根本匠元厚生労働相や木原誠二官房副長官ら頭脳派議員に寄せる信頼は厚い」と指摘する。
根本氏は東大経済学部から旧建設省、国家安全保障担当の首相補佐官を兼務する木原氏は武蔵から東大法を出て旧大蔵省というエリートだ。
財務省は特に開成OBが多く、岸田氏には以前から「財務省の言うことを聞きすぎる」と指摘もあった。
前出の歳川氏は「岸田氏は本来、財政規律派だが、衆院選や来年の参院選を勝ち抜くことが優先事項だ。数十兆円規模と掲げた追加経済対策は財務省から反感を買うかもしれないが、まずは政権基盤を固め、その後、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化など財政規律派としての政策に乗り出すのではないか」と語った。