東日本大震災後に住民票を福島に残したまま山梨県に避難した県立高の女子生徒が、山梨県立大(甲府市)の2022年度の学校推薦型入試に出願したところ、県内に住民票がないことを理由に、いったん不受理扱いにされていたことが明らかになった。県立大は5日、設置者の長崎幸太郎・山梨県知事の要請を受け、住民票が県内になくても一定の条件で出願を受け付ける方針に転換した。【梅田啓祐】
生徒の支援団体などによると、生徒は東京電力福島第1原発事故を受け、山梨県内へ避難した。県立大が9月にこの入試の要項を発表した後、生徒は出願を希望し、成績など一定条件をクリアしていたことから、担任らが県立大に照会。県立大によると、要項には「本人か保護者の住民票が山梨県内にあること」とあり、住民票記載の住所が福島県のままでは出願に応じないとの見解が伝えられたという。
生徒が通う高校や支援団体は山梨県立大に質問状や意見書で要項の変更や対応の是正を求めたほか、県も見直しを要請した。しかし県立大は「一度公表した要項を変更することはできない」として受理は不可としていた。
ところが、10月3日に問題が一部報道で明らかになると、長崎知事は4日、「東日本大震災の被災者をはじめ、出願に際して特段の配慮が必要となるケースが想定される」とした要請書を出し、見直しを強く求めた。
これを受ける形で県立大は5日、22年度は、居住が確認できる書類や住民票を移動できない理由書などを提出すれば住民票に代わるものとして取り扱うとした。23年度以降は要項自体の変更も検討するという。
長崎知事は5日、報道陣の取材に「形式的な要件で、子どもの将来やチャレンジする機会を奪うことがあってはならない」と強調し、女子生徒や保護者に対し「心からおわび申し上げる」と陳謝した。